福島県木材協同組合連合会

平成27年度 地域材利用の木材関係者等への支援対策事業

福島県木材協同組合連合会・一般社団法人福島県建築士事務所協会

実施概要

Ⅰ 県内森林の実態把握と県産木材流通・加工体制の構築
1、県内森林放射線量マップの作成
毎年秋に調査を実施している原子力規制庁の航空機モニタリングから最新の森林空間放射線量測定データにより県内の放射線量マップを作成した。

<放射線量マップ(0.5μSv/h超の地域)>
 
2、会津地方における木材生産と流通体制の検討
 
<会津共販三島市場記念市>
県内において放射能の影響が最も少ない会津地域産木材を、今後県内に広く需要が見込めるCLTやバイオマス燃料として積極的に利活用するための方策を検討した。
①会津流通及び利活用検討会等の開催
②採材及び集荷素材の仕分け研修会
③木材流通視察研修
 
Ⅱ 木造住宅等への地域材の利活用
1、企画等会議の開催
(1)地域型復興住宅推進協議会(4月28日)
(2)地域住宅生産者グループ連絡会議(5月10日)
(3)被災3県連絡会議(9月1日)
 
2、木造住宅等の普及・PR
(1)イベント等への出展・PR
地域文化や気候風土に調和した木造住宅の建設を促進し県産材の需要拡大を図るため、地方公共団体や関係団体等が開催するイベントに出展した。
①東北電力省エネフェアー
②木と住まいの大博覧会(ナイスフェア)
③不動産フェア
④再生可能エネルギー産業フェア
⑤第41回福島県林業祭

<木と住まいの大博覧会>

<福島県林業祭>

 (2)住宅相談会への専門家派遣
<住宅相談コーナー>
PRイベント等への出展に併せて、専門家9名を派遣し、住宅建築にかかる手続き、設計や工務店等の紹介、各種融資制度等の住宅相談を実施した。
(計3回5日間)

 (3)地元新聞等を活用したPR
協議会や県木連の事業内容、取組、事業実施等に関する情報を、地元新聞や雑誌等に掲載した。
 ①「木の日」のPR
 ②木造住宅PR
 ③住まいづくり応援PR

 (4)木造住宅テクニカルガイドの作成
地球と家族を考える会「KUMIKO」の家では、木造住宅の建設を計画している施主(消費者)向けに木材及び木造住宅の性能等をまとめた技術マニュアル本と概要パンフレットを作成し、勉強会やイベント等で配布するとともに、「KUMIKO」の家の情報をより細やかに広く発信するためのホームページを作成した。

 
<授業風景>
(5)小学生向け教育読本による授業実施
これまでに作成した小学生高学年向け教育読本を活用し、県内の小学校において「木の大切さ、木材の素晴らしさ」の理解を高める授業を郡山市高野小学校外4校において実施した。
 
3、研修会等の開催
<新技術・新工法研修会(いわき市)>
(1)地域住宅生産者向け技術講習会
①家づくり技術講習会(8月1日郡山市)
②木造復興公営住宅現地見学会(9月9日三春町)
(2)新技術・新工法研修会
①これからの中・大規模木造建築の可能性
(7月28日いわき市)
②CLTの実践と木質建築の新たなビジョン
(9月20日郡山市)

 (3)技術者等木材加工・木材市場等見学会
木材や木造住宅の良さを理解し愛着を深めてもらえるよう、木材及び設計、施工関係者を対象とした1泊2日の「森林バスツアー」により、茨城県つくば市にある建築研究所と森林総合研究所や千葉県佐原の重要伝統的建築物保存群の視察・研修を行った。

<建築研究所>

<重要伝統的建築物>
 
 
Ⅲ 県産木材を活用した新製品・新商品の開発と展示・PR
1、県産木製品の開発・試作
福島大学の学生(3名)を対象に基本的な木材の特性や加工方法を白井木工所(伊達市)で研修した後、木製玩具(サイコロブロック、動物積木等)の製品提案を行った。
 
2、各種イベント等における展示PR
県内各企業等により開発・製品化した遊具(くねくね橋やコロQ等)を県内・外のイベント等に出展し、PRを図った
<ふくしまこどもカーニバル>
(1)出展イベント
  ①ふくしまこどもカーニバル(8月13~14日郡山市)
  ②おひさまフェスinかわさき(9月24日川崎市)
  ③ふくしま放送開局35周年記念KFBまつり
  (10月9~10日郡山市)
 
3、イベント等に出展した木製アーチの移設によるPR
第2回「ハウスビジョン」において隈研吾氏がデザインしたメインアーチが福島県産材で製作されたことから、イベント終了後、解体し、その一部を福島県内の施設に活用することとした。

<アーチ解体作業>

<カフェ・アメイゾン(川内村)外構部材への活用>
 

事業実施により得られた効果

① 震災後の県内森林・林業・木材産業の現状を把握することができ、木材業者間の連携や今後の木材需要拡大の一助とすることができた。
② 各種イベントを通して、消費者等へ県産材を活用した木製品とふれ合うことにより、木材の良さや親しみやすさなどを感じていただくことができた。
③ 県内の設計・建築者を対象とした研修会を通してCLTや県内木材業者が取り組んでいる新技術、新工法への理解や憧憬を深めることにより、木造建築物の増加や県産材の需要拡大につながることが期待できる。
 

今後の課題と次年度以降の計画

依然として厳しい状況に置かれている県内林業・木材産業の再生・活性化を図るには木材の需要拡大が必要であり、CLT等新たな素材を含め復興住宅や公共施設等への積極的な活用を行政と連携し進めていく必要がある。
さらに当事業で連携が深まった木材業界と建築・設計者との関係をより深めることにより、木造建築物への理解と実需につながる取組みを強化していくことが大切である。
福島県においては県外への販路拡大には、安全性に配慮した素材・製材品の出荷が求められることから放射能に対する検査体制は継続して実施していくこととなる