茨城県産材普及促進協議会

平成27年度 地域材利用の木材関係者等への支援対策事業

茨城県産材普及促進協議会

実施概要

○実施団体の説明 : 茨城県産材普及促進協議会

 私共 茨城県産材普及促進協議会は、素材生産、製材・加工、流通、大工・工務店、建築家という、木材に関わる川上から川下までが価値を共有し、情報交換をしながら、茨城県産材及び地域材の普及促進のため多様な活動を行っております。特に本年度からは本事業推進のため、茨城県木材協同組合連合会が加盟し、より活発な活動を行っております。

○茨城県産材の未来創造事業 2016 

事業の目的
「茨城県産材の未来を拓く」ために、客観的な視点から現状の課題を探り、県産材の価値向上、持続的利用の継続・拡大、販路開拓に向けた取り組みを行う
 
事業内容
1、企画等の会議の開催 
 実施計画の策定、事業の進行管理、実施内容の検証・承認を行った。川下から川上までの木材関連業者が集う協議会である特性を活かし多様な連携を図った。実施期間中も多角的な検証が出来たため、実効性のある対策を実行あるいは策定することができ、当初計画以上の成果を上げたものもある。また事業の実施において、共同開催や子育て団体との相互協力によって出展費などの費用削減が出来た。
2、中大規模建築物の木造化 促進事業
 1)普及対策
①中大規模木造建築物促進マニュアルの製本・配布及び公共団体へ木造化の要請(別冊その他成果物)
マニュアル3,000冊を作成し、県内設計事務所、44市町村等に配布するとともに、ホームページからダウンロードできるようにした。
 知事に上程するとともに公共建築物の木造化を陳情した。新聞各紙に取り上げられたことから大きな反響を得、中大規模建築物の木造化に関心が高まった。
②県産材を用いた中大規模建築物木造化の円滑化推進に向けて課題と提案 策定(別紙 報告書)
(茨城県や県内市町村の整備する公共建築物の場合を想定)
まず公共建築物で範を示して頂くことが波及につながると考え、茨城県林政課・営繕課・建築指導課・住宅課と連携を図り、公共事業の流れをもとに、県産材調達の円滑化対策を検討した。補助金の確定時期が重なることや、一部で流通経路が複雑になっていることなど、問題点が明らかになり、対策をまとめた。ここから材料調達以上に、公共建築物として、2×4工法、S造、RC造よりも割高になっている問題があること、施工業者の不足、設計者の経験の不足、設計資料の不足、発注者への情報の不足など、木造の公共建築の未成熟な状況、木造化推進に関わるさまざまな課題が明らかになった。当初の木材流通の円滑化計画からから1歩進めて、「県産材を用いた中大規建築物建設の円滑化推進に向けて課題と提言」を策定した。
③発注者むけ研修会の実施 (別紙アンケート集計)
茨城県営繕課の協力を得て、茨城県営繕主務者会議にて中大規模見建築物の木造化の講習を行った。44市町村及び茨城県警など52名の参加を得た。アンケートの結果、木造化の法制化や県条例が一部周知されていないことや知ってはいても情報不足から取り組みにくいと思っている公共団体が多いことが分かった。特に、材料調達、県産材の価格等の具体的な情報、単価、劣化対策、維持管理のノウハウなどの情報が求められていることが分かった。                       
④発注者向けテキスト作成 (別冊その他成果物)
  • 茨城県産材中大規模木造建築物促進マニュアル スライドおよび概要編
     100部 営繕主務者会議にて配布
  • 「公共建築物木造化のメリットとは」
     160部 講習会の他、44市町村にも2部ずつ配布
 
中大規模建築物木造化マニュアル
公共建築物木造化のメリット
44市町村への配布
 
3、地域大工・工務店支援事業 
~2020年必須化される改正省エネルギー基準に対応できるようにする取り組み
 1)テキスト作成 各120部(別冊その他成果物)
①外皮計算用演習問題の開発(CD)とその解説書の作成 
②これからの工務店に必要な知識 テキスト1~ZEH BELS関連テキスト
③長期優良住宅申請テキストにおける平成28年度改訂基準の変更点
④木造住宅・建築物の振興施策等について
⑤リフォーム事業におけるインターネットの活用について
⑥今、住宅会社に必要なアフターフォロー体制を考える
 2)作成ツールの講習会等へ提供
①~⑥に加えて、昨年作成した改正省エネルギー法対応 長期優良住宅申請テキスト「本編」30冊、「外皮計算編」48冊、「基礎編」36冊を増刷し、提供した。大変好評なテキストであるため、ホームページからダウンロードできるようにした。
 3)講習会の実施~「これからの工務店に必要な知識」講習会 (別紙報告書あり)

2016年10月25日(火)水戸 参加52名 、27日(木)つくば 参加42名


  
 
製作テキスト

講習会 水戸会場
講習会 つくば会場
 
4、普及イベント開催 
 1)建築家の作品展による受注促進事業の拡大
①建築家部会 愛称等の策定 (別冊その他成果物)
 今後継続的に活動していくことを決め、県産材とそれを活用する建築家のブランディングを図り、イメージアップと信頼感、受注促進を目的として、愛称を定め、ロゴマーク等を作成し活用した。
  • 「きときと」~木と人の暮らしをつなぐ建築家のイメージ
  • ロゴマーク、ロゴタイプ策定、ロゴ使用マニュアル、リーフレット 名刺 イベントツール作成 
ロゴ使用マニュアル
リーフレット
名刺
販促ツール
 
②販売促進と周知イベント (別紙 報告書)
・5月イベント 「建築家と作る 積み木で巣箱」 
■開催日時 2016年5月7,8日(土,日) 参加 40組 、見学186組
■開催場所 イオンモール守谷 専門店街2階ペンギン堂前特設会場 
■目的 木材を使った工作を行い、親子で木に親しむ機会を設けることで木の良さを実感してもらう。同時に県産材を使用した建築家の住宅施工例の展示を行い、茨城のすてきな木の家の魅力をPRする事による県産材の普及を目的とする。
・6月イベント 建築家と建てる家づくりセミナー&相談会
■開催日時 2016年6月4日・5日(土、日) プラン依頼 4組、 来場106名、 相談 11組 
■開催場所 イオンモール守谷 2階 コミュニティホール及びブリッジ
■目的県産材を使用した建築家の住宅施工例の展示、家づくりのセミナーを行い、茨城の木の家の魅力をPRする事で、県産材の普及を狙う。
・9月イベント 建築家と建てる家づくりセミナー&相談会
■開催日時 2016年9月22日(木・祝)~25日(日)プラン提案希望 5組、見学 224組、相談 26組
■開催場所 イオンモール土浦 専門店街3階 イオン前広場
■目的 新築・リフォームなどエンドユーザーの家づくりの悩みに対し、建築家が無料で相談に応じることで、県産材を使用してもらうきっかけを増やし、県産材の普及を狙う。また事例の展示や、セミナー等で集客を増やし、県産材の良さを広く周知する。
・10月イベント 建築家と巣箱(おもちゃ)づくり+建築家と建てる家づくり無料相談会 
■開催日時 2016年10月23日(日) 参加 17組、見学 86組
■開催場所 守谷イオンモール 専門店街2階 トリンプ前特設会場
■目的 県産材の端材を利用して、お子さんといっしょに巣箱をつくりのイベントを開催した。あわせて、県産材の普及展示、きときとの住宅の参考例を展示し、新築・リフォームなどエンドユーザーの家づくりの悩みに対し、建築家が無料で相談に応じることで、県産材を使用してもらうきっかけを増やし、県産材の普及・告知を目的とする。
9月イベント
セミナー
グリーンフェスティバル
ミニ上棟式

 2)守谷市公共建築物計画への木造化提案 (別冊その他成果物)
①市民への提案 赤ちゃんから大人まで、木を身近に感じる環境を整えることで感性が磨かれ、自然へ親しみ、多世代の交流が生まれ、暮らしが豊かになる。「もりや子育てネットワークままもり」が担うプロジェクトを推進する円卓会議で、守谷市駅前遊休土地活用で木造建築物の提案を行った 
・5月円卓会議  ぬく森プロジェクト推進円卓会議における木造建築物の提案 
■開催日 2016年5月6日(金) 13:00~17:50
■開催場所 イオンモール守谷 コミュニティホール2
・地域住民へのプレゼンテーション
■開催日 2016年5月17日(火) 9:00~12:00
■開催場所 南守谷児童センター(ミ・ナーデ)
■目的 茨城県南エリアの公共建築物の木造化提案
・県産材および木造建築物の魅力を発信する施設建設の推進
・県産材を活かした建築物の新しい可能性の提案
・県産材を用いることで、公共建築物が地域コミュニティ形成に資する可能性の提案
②守谷市への提案
もりであそぶ もりであるく
もりでであう MORIDEA

駅周辺1.2h市有地活用提案
 
③ 子育て応援施設への什器貸し出し

(協議会員所有)

ふぁも 木育空間

ふぁも木質家具の貸し出し

                         
事業実施により得られた効果
  • 中大規模建築物の木造化について、県や市町村との連携が図られたこと、業種ごとに聞き取り調査ができたことで、隠れていた問題点が明らかになった。そこから計画より踏み込んだ、普及促進に資する対策をまとめることができた。またマニュアルが高い評価を受け、関心も高まった。
  • 県産材利用の中心である大工・工務店に対し、必要な知識の習得に資するテキストと講習会を行った。
  • 建築家や子育て団体との連携によって消費者の木に対する期待やその表現方法を知ることができた。
  • セミナーや無料相談会によって木造住宅への理解や期待が高まった。14件のプラン依頼があった。
  • 遊休土地を探して市民からヒアリングし、県産材を活かした建築物の新しい可能性の提案ができた。
今後の課題と次年度以降の計画
課題①木造中大規模建築物建設円滑化対策の実行
  • 発注者支援、設計事務所支援、情報提供、安定的木材供給ルート構築を行い、関係者の不安をなくすことで、中大規模建築物木造化の推進を図る必要がある
     茨城型木造建築コーディネーター制度の構築、中大規模建築物用スパン表、木造保育園の視察研修会等を行う。また茨城県に木造中大規模建築物建設の円滑化制度の提言を行う。
  • 公共建築物の次のステップとして、民間の幼・保施設、老人施設、事務所などへの採用を促す必要がある。
     ➡民間の幼・保施設、老人施設、事務所などへ木造の採用を促す方策を検討する。
  • CLTや接着重ね梁などの新素材の調査・茨城での生産利用の可能性を検討する必要がある。
②工務店に対し、時代に対応した技術の提供を継続する必要がある。
 ➡設計事務所、工務店向け外皮計算演習勉強会を実施する。
③建築家、木育団体等との連携を深め、利用者のニーズをつかみ、継続した県産材利用促進や木を愛する人を増やす工夫を続ける必要がある。
 ➡イベントの継続及び「きときと」のブランディングを続ける。また、MORIDEAの実現に向けた取り組みを行う。