広島県木造住宅生産体制強化推進協議会

平成27年度 地域材利用の木材関係者等への支援対策事業

公益社団法人広島県建築士会【広島県木造住宅生産体制強化推進協議会】

実施概要

 本事業は、広島県木造住宅生産体制強化推進協議会(構成員:11団体・2企業)において、(一社)広島県木材組合連合会、(公社)広島県建築士会、(一社)広島県建築士事務所協会の3団体が中心となり地域材の普及・啓発事業を行った。普及・啓発を行うにあたり、(1)
消費者等向けの取組み(県産材に親しみを持ってもらうため、デザインコンテストの実施、地域材製品の展示、地域材住宅の情報提供、啓発冊子の作成など)、(2)建築技術者、木材業者等向けの取り組み(木構造設計に関する勉強会、専門的知識の取得や消費者ニーズを掴むためのワークショップの実施など)を主眼に置いて事業展開を行った。
 
1 消費者向けの取り組み
①デザインコンテストの実施
 広島工業大学のプロジェクトセンターと連携し、県産材を利用したベンチ、ツリーハウス、インテリアのデザインコンテストを行った。募集対象については小学生から一般市民までを対象とし、木材需要の喚起や木育などを行った。結果は、広島工業大学において表彰式とセミナーを行うとともに、優秀作品は実際に試作を行い市中に展示した。
  • デザイン募集:ベンチ部門、ツリーハウス部門、新築部門、インテリア部門
  • 応募数:141点
  • 優秀作品の試作・展示:13点
  • 表彰式・セミナー:12月18日 広島工業大学Nexus21   参加者120名
 
②県産材を活用した木造住宅の情報提供の実施
 広島サスティナブル住宅研究会と連携し、木造ZEH住宅に関する情報提供を行った。中四国では初となる地域材を活用した木造住宅のみの住宅分譲に合わせて木造の基礎的知識やメリットなどをまとめたリーフレットやWebページを作成し、一般消費者への啓発を図った。
 
③非住宅業者向けの啓発冊子の作成
 NPO法人サウンドウッズと連携し、非住宅業者向けの啓発冊子の作成を行った。
コスト、耐火性能、耐震性など非木造に対して不利と思われがちな点について具体的に回答することで、イメージで木造を避けていた業者に対しての啓発を図った。
 
 
④地域材を利用したイベントの実施
 約80万人が来場する「ひろしまフードフェスティバル2016」に隣接する会場(「国際交流フェスティバル ぺあせろべ2016」)及び広島市中心部の地下街(紙屋町地下街 シャレオ)において、地域材を活用したイベントを実施した。多くの来場者を確保するため、住宅購入層である子育て世代の親子をターゲットとした出展を行った。特に子供たちを対象として木工キットを準備し、大工の指導を受けながらの工作やゲームなど、木に触れることを通して、木の持つ特性、素晴らしさを実感してもらう取組みを行った。
 来場者等:ぺあせろべ会場   10月30日    2,150人
      地下街シャレオ会場 10月28日~29日 1,310人
 
 
 


 
⑤地域の商店街におけるストリートファニチャーの制作・設置
 地域の建築士、家具業者、建築を学ぶ学生、商店主等で、地域材を活用したベンチ
のデザイン提案から制作・設置までワークショップにより実施。
  6月30日 呉工業高等専門学校建築学科演習室 参加者11名
  8月17日 呉市役所くれ協働センター     参加者11名
 10月30日 呉YWCA             参加者17名
 
 
2 建築技術者・工務店・木材業者向けの取り組み
①建築士向けの木構造設計に関する講座の実施
 近年、学校などを始めとした公共物件や商業施設などを木造で建設したいというニーズが高まっているが、中大規模な木造建築物の構造設計ができる人材は未だ不足をしている。昨年の「地域材利用拡大事業」に引き続き、木造建築物設計のための木構造の基礎講習とより高度な許容応力度設計に係る講習を実施した。
 木構造基礎講座: 7月20日~11月16日 建築士事務所協会施設内にて
           5回開催 延115名受講
 許容応力度設計講座: 7月13日~11月9日 福山市市民参画センターにて
           5回開催 延106名受講
 受講者:建築設計事務所・建設会社等の建築士
 
②地域材のプレミアム化を目指すワークショップの実施
 県内における都市内木造等の可能性を考える「まちもくひろしま」グループと県北地域の行政職員、森林組合職員、地元住民等で地域材の新規市場の開拓を目的としたワークショップを開催した。㈱古川ちいきの総合研究所の古川氏をファシリテーターとして招き、消費者が地域材に何を求めるのか、消費者の求めに対して川上から川下までの木材業者が何をすべきか、広島地域のプレミア化のためには、どのような資源をどのように活用していくべきかなどのワークショップを開催した。
  6月25日 北広島町役場中央公民館 参加者19名
  8月27日 ファーム・ノラ     参加者19名
 10月30日 北広島町役場本庁舎   参加者15名
 

事業実施により得られた効果

 本事業を通して、一般消費者等には、木(木材、地域材)に関心をもってもらうことができ、木材需要拡大の機運醸成が図られた。
 また、木材に関わる川上から川下までの技術者、業者が、自分たちのやるべき課題意識をもち、技術力等を高め、木材の需要拡大という共通目標のために連携する機運が高まった。
  • デザインコンテストでは、小学生、中学生、高校生、大学生と次代を担う世代を含め一般市民やプロの建築士も含めて幅広く県民に木材の可能性や有効性の啓発と木材需要拡大の機運醸成が図られた。
  • 木造住宅の展示に向けた情報提供については、幅広い広報等により、県民への周知が図られ、問合わせやHPへのアクセス増加が見られ、関心が高まっている。また、住宅建設に関わる関係事業者の連携体制強化につながった。
  • 非住宅業者向けの啓発冊子作成により、今後発注者等において木造建築に対する理解が深まり、地域材利用の需要拡大が期待できる。
  • 地域材活用に係るイベントにおいては、木材に触れる機会等を通して、木材の知識向上と魅力についてアピールでき、地域材の需要拡大に繋がるものと期待できる。
  • ストリートファニチャー制作・設置の取組は、身近な商店街での取組みにより、地域に住み、働き、学んでいる様々な立場の市民に木材の持つ魅力が発信できた。また、設置した成果品が今後も日常的に利用されることを通して市民の関心が高まり、木材利用の需要拡大に繋がることが期待される。
  • 建築士向けの木構造設計に関する講座の実施により、設計実務者の技術向上が図られ、地域における木造建築物の建設促進に繋がることが期待される。
  • 地域材のプレミアム化を目指すワークショップでは、①素材のストック(量)から素材の質の把握 ⇒ ②よりニーズに合ったモノ(商品)への転換 ⇒ ③更なる質向上(商品の価値を高めるための林産地の更新)といった3つのステップの取組が重要であるとのまとめとなった。
    今後も市場と林産地の連携実現に向け、可能な限り取組継続することとなった。