新潟県木材組合連合会

平成28年度 地域材利用の木材関係者等への支援対策事業

新潟県木材組合連合会

実施概要

将来に渡って地域材の住宅への利用が促進されるように、事業を展開した。

(1)検討会議の開催
①「にいがた木材建築団体連絡会議」
川上から川下に至る関連業種団体により、課題解決や効果的な事業展開のための検討会議を開催した。
日時:平成29年7月26日(水)午前10時30分
場所:新潟県公社総合ビル 3階大会議室
出席者:7人(県建築士会、県建築組合連合会、県建築士事務所協会、県森林組合連合会、にいがた住宅センター、県木材組合連合会)
  • ①「にいがた木材建築団体連絡会議」
  • ①「にいがた木材建築団体連絡会議」
②越後杉加工流通戦略会議
新潟県の地域認証材「越後杉ブランド認証材」は誕生後16年を経て「越後杉」の呼称も定着しつつある。このため、今後の更なる普及啓発や流通促進及び品質向上を目指し、「越後杉ブランド認証工場」の若手等を集めて検討会議を開催した。
日時:平成29年9月27日(水)午後1時30分
場所:新潟木材会館 中会議室
出席者:13人(製材工場)
  • ②越後杉加工流通戦略会議
  • ②越後杉加工流通戦略会議
(2)普及事業の実施
①普及資料活用
地域材の家づくりを促すパンフレットや地域材住宅に関する種々の情報を盛り込んだ冊子等を建築関係者や一般県民向けに作成し配布した。
②広報媒体の活用
以下で実施した非住宅コンペ及び昨年度実施した住宅コンペの作品を基に、地域材を普及する広告を新潟の生活情報雑誌「CARREL」に掲載した。
新潟市内の比較的交通量の多い通りを走行するバス2台の後部に、地域材を普及する看板を取り付けた。
(3)啓発事業の実施
①越後杉木造スクールの開催
建築関係者向けの地域材による5回連続講座を開催した。地域材活用の観点から、「木構造」「建築病理学」「防耐火」「木材性能」「省エネ」などの学習を通じて、「地域材による木造」の担い手育成を図った。
  • ①越後杉木造スクールの開催
  • ①越後杉木造スクールの開催
②非住宅コンペの開催
住宅以外の公共施設や商業施設(店舗)等地域の不特定多数の人々が利用する既存の建築物の写真・建築コンセプトなどを「みんなの建築」として公募し、木の使われ方、地域との関わり、デザイン性やモデル性などに総合的に優れた建築を顕彰し、地域材の良さの発信や利用拡大を図るためのコンペティションを実施した。
公共的施設や町中の小さなベーカーリーなど、さまざまな建物の応募があり、個性的で先進的な4点を入賞とした。
  • ②非住宅コンペの開催
  • ②非住宅コンペの開催
③シンポジウム開催
「地域に根ざす木造建築の姿」をテーマに、長岡造形大学の建築・環境デザイン学科の教授による基調講演、昨年度の住宅コンペの入賞者によるパネルディスカッションから成るシンポジウムを開催した。建築士や建築系の学生を中心に150名の参加者となった。
日時:平成29年8月25日(金)午後1時00分
場所:新潟県民会館 小ホール
  • ③シンポジウム開催
  • ③シンポジウム開催
  • ③シンポジウム開催
  • ③シンポジウム開催
  • ③シンポジウム開催
  • ③シンポジウム開催
  • ③シンポジウム開催
  • ③シンポジウム開催

事業実施により得られた効果

本県の人工林蓄積の96%をスギが占めており、面積は全国8位となっている。また、46年生以上が7割を占めており、この高齢級のスギ(蓄積量は全国9位)の活用が喫緊の課題となっている。しかし、木材価格の低迷から、本県のスギ立木価格は統計開始以来、初めて1m3の価格が2千円台に突入した。
一方、新設住宅着工戸数の木造率は80%台と全国的にも高いレベルにあるが、今年の状況は、地域材活用のメインとなる持ち家住宅が6ヶ月連続で前年を下回り、新設木造住宅着工戸数も前年を下回る状況となっている。
そのため、苦戦を強いられている地域の工務店・設計士等の建築関係者に向け、短期間に地域材に係る種々の情報を強力に発信した。
その結果、
①建築関係者に木造住宅等の地域材(県産スギ材等)を使う意識が浸透
②住まい手(消費者)の地域材を活かした建築への興味・関心が増大
などの成果があった。
ひいては、「地域の業界による地域材を活用した住宅」の継続的な建設促進につながると考えられる。

今後の課題と次年度以降の計画

今年度の事業を通じて、設計に携わる方々の地域材を使用することの意識や地域材を活かすうえで必須の木造技術に関する部分を強化することができたと考えられる。今後も、地域材を活かすことを念頭に置き、種々の観点からセミナー等の実施を検討する。
このような木材側と建築側が将来にわたって継続的に地域材を活用した家づくりを進めていくための担い手養成に加え、優れたデザイン・技術を建築関係者や消費者に普及していくことも極めて重要であると考えられる。