一般社団法人大阪府木材連合会

平成28年度 地域材利用の木材関係者等への支援対策事業

一般社団法人大阪府木材連合会

実施概要

実施団体の説明

大阪府地域産材活用フォーラムは、川上から川下の関係者がお互いに顔の見える関係を構築し、安定的な木材供給、安心・安全な木造住宅の提供、消費者への普及啓発など木材利用に関する取組みを進める場とすることを目的に平成24年8月29日に設立した。

(会員)
木材生産:大阪府森林組合 木材流通:大阪木材青年経営者協議会、一般社団法人大阪府木材連合会(事務局) 建材流通:大阪木材市場協会、大阪木材仲買協同組合
大工・工務店:大阪建設労働組合、一般社団法人関西建築業協議会
建築士:公益社団法人大阪府建築士会、一般社団法人大阪府建築士事務所協会
住宅:一般財団法人大阪住宅センター、一般社団法人関西住宅産業協会、特定非営利活動法人住宅長期保証支援センター、独立行政法人住宅金融支援機構、一般社団法人木と住まい研究協会近畿支部、一般社団法人JBN大阪、行政機関:大阪府(特別会員)
事業の目的
(1)地域材活用実証実験

杉材を活用した耐震補強工法「壁柱」は、京都大学等の公的試験機関における10数回にわたる数多くの耐震振動実験により裏付けられた、杉材利用の低コスト工法であり木造住宅に住む人の命、財産の安全、安心を確保することができ、特に熊本地震のように最大震度3以上の地震の回数が510回を数えるような大震災には変形性能に優れたこの工法は最も有効である。今回、迫りくる南海トラフ巨大地震の発生に備えて、改めて耐震補強の必要性を体感し、併せて木材活用の積極的な推進を図るための公開実証テストを開催し、より一層の普及啓発を図る。

(2)地域材普及啓発シンポジウム、セミナーの開催

健康に優れた効果を発揮する杉材をはじめとする地域材の需要拡大に向けたシンポジウム、セミナー等を開催した。 木造建築工法に関する近年の法整備と普及活動により木造建築物への関心も高まっており、一方で特に中規模以上の木造建築物においては様々な課題も多く、広く木材利用者の情報交換は不可欠となってきていることからシンポジウム「木造回帰が切り拓く建築の未来」を開催した。 また、中規模以上の木造建築物の計画においては、建築資材として不安定な品質、防火をはじめとする安全性の確保、流通の問題などの課題はまだまだ山積しており、円滑な建築計画、設計、施工を推進するためには、生産者から消費者までの木材資源を有効利用するための情報のプラットフォームが不可欠であり、京都大学五十田教授をお招きして、セミナー「木造建築のコスト・材料・工期・木材資材費等紹介」を開催した。
今後の関係者間の相互連携を構築することができ、木材普及のための新たなる可能性を感じることができたシンポジウム、セミナーの開催となった。

(3)地域材普及啓発イベント等の開催

今後の木材利用の拡大が期待できる家具等の分野におけるコンペを開催し、一般消費者等へ更なる地域材の普及啓発を促進した。また、耐震補強工法「壁柱」の普及啓発のための冊子、パンフレットの作成、子育て世代に対する木材利用を啓発するための木材活用事例集の作成、子ども向けの木育遊具「木のたまごプール」を作成し、木材に関する取組み等を広くPRすることにより、森林の大切さや地域材や木造住宅に対する理解を深めてもらった。

事業内容、事業結果
(1)地域材活用実証実験

とき:8月9日(水)ところ:京都大学防災研究所
参加者:80名
京都大学防災研究所 川瀬教授の監修の元、木造2階建て実験棟(8畳間、1階壁柱補強、2階非補強)を製作し、強震応答・耐震構造実験室強震応答実験施設にて実証実験を実施した。実験内容はJMA神戸波及びKiK-net益城波を交互に行い、10%~100%まで振動させることができた。なお、2階の非補強部分については筋交いが実験途中で破壊してしまったが、1階壁柱部分については最後まで目立った損傷はなかったことから、壁柱補強の耐震有効性を実証するとともに木材活用の促進を図ることができた。

(2)地域材普及啓発シンポジウム、セミナーの開催
①シンポジウム「木造回帰が切り拓く建築の未来」
とき:平成29年3月30日、ところ:綿業会館、
参加者:200名
講演
「建築分野における木材利用の促進」 井口真輝氏(林野庁木材産業課)
「官庁施設の木造化の現状と課題」 村上幸司氏(国土交通省木材利用推進室長)、瀧野幹子氏(近畿地方整備局)
「木造回帰が切り拓く建築の未来」 腰原幹雄氏(東京大学生産技術研究所教授)
「法令改正と技術革新による木造建築の新たな展開」長谷見雄二氏(早稲田大学創造理工学部教授)
パネルディスカッション「西日本における木材利用推進のために不可欠な方策」
進行:五十田博氏(京都大学生存圏研究所教授)
コメンテーター:腰原幹雄氏(東京大学生産技術研究所教授)、長谷見雄二氏(早稲田大学創造理工学部教授)、黒田慶子氏(神戸大学大学院農学研究科教授)
②セミナー「木造建築のコスト・材料・工期・木材資材費」
とき:平成29年7月19日、ところ:遠藤照明ショールーム 参加者:50名
講演者:五十田博氏(京都大学生存圏研究所教授)
(3)地域材普及啓発イベント等の開催
  1. ①木材を使った家具のデザインコンペ2017の実施
  2. ②耐震補強工法「壁柱」冊子、パンフレットの作成
  3. ③木育のための「木材活用事例集」の作成
  4. ④木育のための「木のたまごプール」作成
  5. ⑤新聞広報

事業実施により得られた効果

本事業により、杉材を活用した耐震補強工法「壁柱」の実証実験を実施し、耐震補強における木材活用の有効性を広く普及推進することができた。また併せて普及啓発用の冊子、パンフレットを作成し、今後の更なる普及啓発の積極的な推進を図っていく。また、最近の中規模以上の木造建築物の課題等を解消するため、シンポジウム、セミナーを開催し、川上から川下までの関係者のプラットフォームを構築し、今後の更なる木材活用を図るための基盤整備をすることができた。更には家具コンペの開催や普及啓発用事例集の作成、木製遊具の作成等を通じ、子育て世代をはじめとする一般消費者に対しての木材、家具、インテリア、木製遊具、木造住宅等の情報を発信し、より一層の生活空間における木材活用や木造住宅の普及促進につなげていくことができ、より広範で重層的に展開し、本事業のPR効果を大阪をはじめ全国へと拡大し、地域材の需要拡大を促進した。

今後の課題と次年度以降の計画

本事業により関係者の基盤整備ができたことから、今後の連携を強化し、より一層の木材活用を推進していく。また、本事業により作成した冊子、パンフレット、事例集等を最大限活用し、より一層の木材普及啓発を図っていく。また、併せて木育等を推進し、より一層の一般消費者等への木材PRを今後も引き続き推進していく。