一般社団法人山梨県木造住宅協会

平成30年度 A材丸太を原材料とする構造材等の普及啓発事業

一般社団法人山梨県木造住宅協会

事業計画


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実施概要

実施団体の説明
 当協会は、山梨県内の中小工務店並びに木造建築関連事業者の支援を図り、地域材の有効活用及び需要の拡大を促進するとともに、木造建築関連産業の振興を目的に平成22年に設立し、現在66社が加入する団体である。
 地場の大工・工務店、設計士、建材メーカー、製材業者、森林組合等を主な会員としており、木造建築物の川上から川下までの関係事業者が加入している点が特徴となっている。こうした異業種会員との連携を図りながら、地域材を活用した木造建築物の普及に取り組むことにより県内における質の高い住宅等の供給を実現し、更には県民の生活の向上、災害時における木造応急仮設住宅の供給、建設産業の人材育成等を図っている。
 
事業の目的
 全国的には産地が限られている貴重なアカマツではあるが、県内ではB材/C材で木材チップ用など安価で取引されており、付加価値を高めて一般流通材(A材)として生産し、利用拡大することを目的として、これまで難しいとされてきたアカマツの材面割れの少ない乾燥方法の研究開発と県内施設での乾燥試験などに以下の体制で取り組んだ。
事業概要図
 
事業内容、事業結果
事業1 アカマツの一般住宅建築用材としての無垢製材品の開発
 ①アカマツ芯持ち正角材の割れ抑制乾燥の試みとして、九州大学大学院農学研究院で高温セット処理による木材乾燥実験を行った。
135×135×400 4本 2回実験 最大割れ幅をノギスで測定
高温セット終了後の状態 乾燥終了、プレーナ仕上げ後の状態

 ②アカマツ材の加工歩留り向上を目的として、熊本県林業研究指導所で蒸煮減圧処理による木材乾燥実験を行った。
蒸煮減圧処理装置 圧力容器への試験体設置 恒温恒湿器による乾燥
80℃蒸煮
含水率
12.2%
120℃蒸煮
含水率
12.1%
120℃蒸煮+減圧
含水率12.1%
無処理
含水率12.9%

 ③上記①②の実験結果を受けて、県内乾燥施設での実物大による木材乾燥試験のために、峡南森林組合でアカマツ芯持ち正角材の高温セット処理(スパイク桟木併用)を行った。
135×135×3000 10本 高温セット処理前 ドリルビット挿入で主要な割れを測定

④上記③の高温セット処理を施したアカマツ芯持ち正角材を、低コストによる促進乾燥の工夫の一つとして、山梨県森林総合研究所で太陽熱乾燥試験を行った。
ソーラー乾燥棟による促進乾燥 途中経過

 ⑤上記④と同じく、低コストによる促進乾燥の工夫の一つとして、マエダ製材所でアカマツ芯持ち正角材の低温乾燥試験と芯付き平角材のスパイク桟木効果の試験を行った。
途中経過計測 145×265×4000 芯付き 20本
 
事業2 木材乾燥技術者育成のための研修会及び視察研修の実施
委員会の様子
全4回開催
委員会の様子
全4回開催
スギ丸太の輪掛け乾燥
トライウッド
スギ平角材の自然乾燥
トライウッド
 
事業3 広報活動
森林のフェスティバル
山梨県主催 10月20・21日
アカマツ材利活用の可能性
講習会 2月4日
 

事業実施により得られた効果

1)高温セット工程(乾球温度130℃、湿球温度95℃、7時間)で材面割れは生じるものの、その後の乾燥過程(温度75℃、相対湿度35%)で実験材(4本中3本)の割れが4mm以上から乾燥後1mm以下まで減少することが確認された。
2)蒸煮減圧処理による実験材の収縮率は、処理条件(80℃蒸煮、120℃蒸煮、120℃蒸煮+減圧、無処理)による明らかな差はないことが分かった。
3)蒸煮減圧処理材(120℃蒸煮+減圧)では、幅が大きい材面割れは発生しないことが確認された。
4)県内乾燥施設でも実物大のアカマツ芯持ち正角材で、ドライングセットを形成させることができた。
5)ソーラー乾燥棟や低温乾燥機で促進乾燥させることで、材面割れが閉じる方向に経過することが分かった。
6)高温セット工程において、アカマツ芯持ち正角材のスパイク桟木による、ねじれや曲がりの抑制効果が高いことが確認されたことで、歩留まりや生産性の向上、製材コスト低減が期待できる。
7)今回の条件によるアカマツ芯付き平角材においては、スパイク桟木によるねじれ変形量を低減させる効果はなかったことが分かった。

今後の課題と次年度以降の計画

1)高温セット工程後の乾燥過程で割れが減少しなかった材があったことから、その原因を究明する必要がある。
2)蒸煮減圧処理おいて、更に長い試験体による確認や目標含水率まで乾燥した場合のねじれ等の発生状況の確認が必要である。
3)県内のソーラー乾燥棟や低温乾燥機(その後の自然乾燥)で促進乾燥させているが、乾燥期間が1ヶ月間と短かったため材面割れが完全に閉じるまでに至らず、その期間がどの程度必要となるのか試験を続けることとしている。
4)正角材の乾燥方法を応用して、アカマツ芯持ち平角材でも材面割れとねじれや曲がりを抑制できる乾燥方法の確立を目指す。
5)無垢製材品の実験・試験を進めて、発展的には接着重ね梁の試作品を製作し、アカマツの多様な利活用の拡充を図る。