木曽川流域木と水の循環システム協議会

平成30年度 A材丸太を原材料とする構造材等の普及啓発事業

木曽川流域木と水の循環システム協議会

事業計画


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実施概要

「木曽川流域木と水の循環システム協議会」とは
「木曽川流域木と水の循環システム協議会」は、木曽川流域から恩恵を受ける「流域」をひとつの地域経済圏と考え、河川流域が一体となって、主に木材(木曽川流域材等)や木曽川流域材等の国産材を活用した木造住宅・木製品の需要創造活動を行うことを目的としています。木曽川流域において、消費が生産(再生)を生む循環利用の具体的実践により、地域経済の活性化及び森林の持つ多面的機能の発揮に向けた森林保全を啓蒙するための様々な事業を企画実施しています。流域の素材生産・加工・流通・住宅建築に関わる企業や団体など約100社が参画し、愛知県、岐阜県、長野県といった県や市町村も特別会員として連携しています。
 
木曽川流域のイメージ図 協議会のネットワーク図

 協議会の設立から5年が経過し、川上から川下までの相互連携体制が確立し、多様なニーズと供給をマッチングさせ、原木供給から設計・施工等に至るまで各界のエキスパートによる県域を越えた地産地消・適材適所の提案力と加工力・施工力により、「満足度の高い暮らしの提供」を実現しています。
 また「家づくりや木製品づくり(モノ)」「暮らし方(コト)」「イベントによるつながり(ヒト)」を通じて流域文化ネットワークを構築し、より豊かなライフスタイルの提案に取り組んでいます。
 
事業の背景・目的
 現在、木曽川流域の森林が抱える課題の一つとして、人工林の高齢級化すなわち大径化の進行が挙げられます。この大径材の活用には、構造材、内外装材、家具等といったあらゆる方面におけるA材丸太の需要創造が不可欠であると同時に、その製品の価値を高め、山元に利益還元することの推進が必要であると考えられます。
 本事業では、従来の東濃ヒノキや木曽ヒノキの柱材といったブランド材を代表とする主要構造材のみの活用から、一般ユーザーに選択権のある内装材や家具など目に見える製品、またの温もりが感じられる無垢製品でのA材丸太利用を提案するとともに、一般ユーザーにむけた木の体感ツアーや地域全体にむけた森木曽川流域材の循環利用のパンフレットの作成など対象者に合わせた普及啓発の取組を実施することで、A材利用・無垢材利用の意義をしっかりと伝え、木曽川流域材の需要の拡大によるバランスのとれた木材需要の創出、山元への利益還元の確保につなげることを目的としました。
 

事業実施により得られた効果

事業1:森と木の体感ツアーによる普及啓発
 10月4~5日の2日間、木曽川流域とその支流の飛騨川流域にて、「木曽川流域体感ツアー」を開催しました。本ツアーは、飛騨川流域から木曽川流域までひとまわりし、ツアーを通して大径材からの付加価値の高い商品の生産や、貴重な森林資源、それを活用する過程を体感することで、それを活用した住宅・非住宅への提案への理解を再発見することを目的として実施されました。
 ツアー1日目は、桑原木材㈱金山工場(内装材)と㈲倉地製作所(構造材)の木曽川流域内の2つの製材工場を視察することで、流域材を活用した非住宅の木造化と内装木質化の提案へとつなげることができました。
 またその日の宿泊は、古民家の民宿に宿泊し、大自然の懐に抱かれた築108年の石置き屋根と長い間住んでいる人が手をかけて代々住み引き継がれてきた柱や梁の美しさを体感することができました。
 ツアー2日目は、林野庁中部森林管理局木曽森林管理所職員の案内で、日本三大美林の一つで国有林である赤沢自然休養林を散策しました。歴史のある植林地であり、森林浴発祥の地をガイドいただきながら散策することで、その地方の植生についてや森の循環についてなど、エンドユーザーにとって体験することが難しい川上側の実態を体感することができました。また木曽の国有林から産出される樹齢80年生以上の人工材木曽ヒノキのブランド材「マルコウマルコクキソヒノキ」の伐採現場を見学しました。
 ツアー参加者からは、ツアーを通じて、「木材がどこから来て、どのように消費者の手元に届くかがわかった」、「使っている木材に愛着がわいてきた」といった声がありました。また今後ツアーについての意見として「また同じ内容で参加したい」や「お施主様が身近に感じる体感を増やして欲しい」などという声があり、次回の課題とします。
 
1日目 桑原木材金山工場
表層圧密技術:Gywood®の説明 名古屋城天守閣の材料となるヒノキ
の250年生以上の大径木を見学
ヒノキの内装材の原板の検品

1日目 倉地製材所
倉地社長による丸太の木取りの解説 JAS機械等級区分製材の強度
検査の行程を確認
大径木の杉丸太を製材してGywood®
のフリー板とする過程の見学

1日目 民宿さわぐち
 
築108年の古民家の民宿の内装  
 
2日目 赤沢自然休養林
中部森林管理局木曽森林管理所職員の案内で、保護や様々な施業試験等を実施している木曽上松の赤沢自然休養林(森林浴発祥の地)を約1時間かけて散策
 
2日目 伐採現場見学  
木曽協和産業㈱の協力の下、樹齢92年生のマルコウマルコクキソヒノキの伐採現場を見学
 
全体風景    
天気がはっきりせず御岳山をバックに全体写真を取ることができませんでした。 木曽川流域沿いの自然風景
 
事業2:木曽川流域材を活用した製品の試作
①「マルコウマルコクキソヒノキ」を使った高付加価値商品の試作
 木曽川流域ネットワークのグループ連携によるトレーサビリティの担保された試品の第一弾として、木曽川流域産地ブランド材(国有林「マルコウ マルコク キソヒノキ(※1)」)のA材大径木と「Gywood®」(※2)のコラボ製品の試作を行いました。
(※1)平成25年度より木曽谷の国有林野から生産される林齢80年生以上の高齢級人工林ヒノキ
(※2) 「Gywood®」
     
(※2)大径化した針葉樹からとれるA材丸太を原材料とし、表層圧密によって針葉樹のメリットを損なうことなく、表面の柔らかさといったデメリットを克服した無垢の新素材。「軽いのに固い」など7つの物理的特長、大径材から取る美しい板目など5つの意匠的特長を持っている
 90年生の「マルコウマルコク キソヒノキ」を製材・表層圧密し、165ミリ幅のフローリングと幅250ミリ厚さ25ミリのフリー板を試作しました。
 
②Gywoodを活用した遊具・アウトドア家具の試作
 公共建築物や非住宅分野において、より木材を目に見える形で活用していく案として、内装制限に関わらず、温もりや品質の重要性の高い遊具を木曽川流域産の杉を活用して試作しました。
 また、今後の需要拡大が期待できるアウトドア家具についても試作品を作成し、今後の展開を検討しました。
 
 
事業3:PRツール等の作成による普及啓発
 木曽川流域木と水の循環システム協議会の取組みや木曽川流域材の循環利用を、一般消費や地域地方自治体、設計・施工に携わっている事業者へわかりやすく伝えるパンフレットや動画を作成しました。
 非住宅の木質化をキーワードに、木質化を進めることの意義(環境貢献やSDGsの達成)を伝えることができました。
 
パンフレット 一部抜粋
動画 一部抜粋
 
 
事業4:展示会の出展による普及啓発
 木曽川流域の地元でのイベントや首都圏でのイベントに出展することによって、木曽川流域木と水の循環システム協議会の取組みや木質化を進めることの意義を説明しました。また、事業2で試作した試作品を体感してもらいその印象をヒアリングすることができました。
 
9/15  全国植樹祭PRイベント
 
2/1~2 木と住まいの大博覧会・東京
 合計46,074人が来場した展示会にて試作品展示。マルコウマルコクのGywood®のヒノキフローリングを、実物大躯体においてスギのGywood®と比較できるよう実際の床として施工しました。また、遊具やアウトドア家具は実際来場者が、手に触れたり遊んでみたりと体感できるような形で展示しました。

 

今後の課題と次年度以降の計画

 本事業で取り組んだ事業1から事業4によって、一定程度の成果を挙げることができたと考えます。
 特に、今年度注力した非住宅物件の内装木質化の意義やメリットの普及促進については、プロユーザー・エンドユーザーに対して、ツアーを通じて山側の実態や実際商品ができるまでの過程について理解を深めることができ、試作品製作を通じて今まで内装木質化が進んで来なかった要因が新しい技術によってカバー出来たことを具体的の説明ができました。
 また、一年間の取り組みの中で、木材需要の拡大に対する数値的な実績を示せたわけではありませんが、前述のとおり、内装木質化の意義をPRする動画、パンフレットのツールを製作することが出来ており、今後はエンドユーザーへの発信を進めると同時に、行政やプロユーザーの提案ツールとしての活用が期待されます。
 流域材の付加価値向上に向けた試作品製作については、企画検討や製作に時間を要してしまい、商品の生産販売体制の構築までは至りませんでした。ただ、事業4の展示会を通じての普及啓発で行った試作品の展示では、プロユーザー・エンドユーザー共に反応が非常によく、今後も商品販売に向けた取り組みを継続し、誰もが身近にA材を製材した無垢材の良さを感じていただける商品として確立させたいと考えています。また、木曽川流域木と水の循環システム協議会の取り組みの普及においては、今年度の成果を踏まえ、より地域の地方自治体を巻き込んだ提案活動を強化し、さらなる認知度向上と普及促進に努めていきます。
 当協議会では、次年度以降も流域全体の繋がりを拡大することで、木曽川流域材を通じて、さらに産業や地域交流が盛んになり、地域経済の活性化に寄与できるような活動を展開していき、同時に環境貢献度の高い流域材のブランド化推進とその需要拡大に引き続き貢献したいと考えています。