合同会社松下生活研究所

令和2年度 顔の見える木材での快適空間づくり事業

合同会社松下生活研究所

事業計画

実施概要

実施団体の説明
松下生活研究所は2015年から現在まで、五木村の森林林業にかかるコンサルティングを行っている。五木村木材普及啓発事業や五木村地域資源構想、五木村森林経営管理構想、五木村木材流通システムの検討を担ってきた。
2016年の熊本地震後、当研究所が事務局となり設計事務所や工務店、製材所、五木村山村活性化協議会(加工・木材流通)と連携する一部の五木源住宅メンバーで支援団体「西原復興支援五木源住宅チーム」を発足した。2017年には被災地の西原村役場内に五木村協力の元、五木源復興住宅(15坪平屋)を板倉建築で建設、被災地支援の核となって復興住宅の相談会などを開催してきた。
 
復興住宅を村へ寄贈し、役割を終えた2019年春から「木組みの家づくりの会」へ名称変更し活動している。尚、この西原村の復興住宅で第14回木の建築賞※1(NPO木の建築フォラム主催)を頂いている。
他、これまでの実績、他の主体との連携・協力実績等については、甲佐町乙女地区支援(震災後ボランティアや公民館で耐震住宅セミナー)、甲佐町古民家WS改修での古民家再生勉強会、五木村の五木源住宅産地ツアー等の実施、セミナーなどを開催してきた。
木の建築賞※1
  
 
事業の目的
本事業は、当研究所が実施主体となり、企画運営・進行管理、経理、事務、仕組化、人材育成を担い「木組みの家づくりの会」の板倉建築受注体制の事業化を図る。

五木村は熊本県の南部にある林野率96%の急峻な九州山地が形成する森林に覆われている。人口1000人足らずの山村は半世紀にわたるダム問題に翻弄されている。森林以外の土地利用は極めて限られ経済活動を林業に求めてきたが、コツコツと育てた森林の活用は厳しい。

木の家を望む需要は大きいにも関わらず、一般住宅の1棟当り凡そ坪0.4m3、30坪住宅で12m3程度である。A材の活用は極めて低い。

地域材を一般住宅の2.5~3倍ほど活用する板倉(落し込み板壁)構法は、人気があるにも関わらず、大量のA材利用の為、価格が高く、或いは価格が見えないと思われており、一般住宅への展開が出来ていない。五木村で展開する話題の五木源住宅を板倉・定額制住宅としてブランド化し、A材認知を広げ需要の喚起と価値を広げたい。

A材を原材料とする本事業は、五木村産材を活用した付加価値の高い構造材、内装材を販売するための五木源板倉住宅の仕組づくり、人材育成、広報の取組み。主要なメンバーがその展開を図るべくサポートを軸に体制事業化をした。

 
事業内容・結果
検討委員会
  日時 会場 参加者(松下除く)
令和2年 8月21日 進星東部センター 6人
  9月12日 進星東部センター 7人
  10月8日 進星東部センター 5人
  11月7日 進星東部センター 6人
  12月8日 進星東部センター 4人
令和3年 1月18日 進星東部センター 5人

下記が事業内容の協議検討。
  • ・アフターコロナの暮らし方と間取りの検討
  • ・海外の森林破壊と国内の森林問題
  • ・シックハウスと板倉建築の果たす役割
  • ・上記を受けたプランや仕様の検討
  • ・板倉住宅と定額制について
  • ・生協やオーガニック直売所のペルソナを施主とすることについて
  • ・動画やHP,資料内容の検討
  • ・オンライン講座などの日程や資料の確認
  • ・営業手引書の内容の確認
  • ・他もろもろ、日程や変更などについて
結果
今回の検討会を運営し、組織体制の充実化・共通化を図り運営するとなると、全員参加協議の開催が出来ないこと、意見の相違があり折り合いをつけざるを得ないことなどがあった。参加者がそれぞれ専門家であり、経営者であるし、建築思想性を持っており、且つ横断的な組織形態であることがその理由であろう。
今後、会を運営するためにコレクティブインパクト※2(社会課題解決に取り組むための一つのスキーム)のような取組みの考え方の理解を得たので、今後の会運営もスムーズになると思う。今後この会は一般社団法人化して、熊本県内での板倉建築のメッセージを伝えながら受注窓口になるような方向性を持たせたい。

※2 コレクティブインパクトとは
  • ①その課題に関わりうるあらゆるプレーヤーが参画していること
  • ②成果の測定手法をプレーヤー間で共有していること
  • ③それぞれの活動が互いに補強し合うようになっていること
  • ④プレーヤー同士が恒常的にコミュニケーションしていること
  • ⑤上記4つすべてに目を配る専任のスタッフがいる組織があること
 
五木源住宅の板倉・定額制の仕組化
・板倉建築勉強会、板倉建築現場視察
日時:9月22日
会場:健軍文化ホール3階会議室及び板倉構法現場見学会in西原(株藤本和想建築様)
対象:設計士、工務店
参加人数:16名(再生住宅株式会社横谷社長、谷良二建築設計事務所谷所長、合同会社トーン建築設計事務所鬼束所長、株式会社フジサンプランニング藤本社長、有限会社進星東部センター高木社長、合同会社松下生活研究所松下代表、IKUNO設計室中島代表、木のいえ設計室くわくわ巻京子、五木村林業活性化協議会兼田、平野組合長、五木村役場土肥係長、豊永課長、株式会社藤本和想建築藤本社長、高尾美佐、田口技建有限会社田口社長) 
目的:板倉建築の成り立ちと現代に必要とする板倉の意義を学び、板倉構法を実際に確認し理解すること。
参加者感想:森林賦存量が最大化した現在、板倉建築で木材を活用する理由が良く分かった。日本は森林国家であり、昔から木を利用した板倉が建築されていた。建築構法としても壁倍率が取得されており、かつ都市部で建築するにあたり準耐化対応もあることは強み。

・板倉定額制住宅の仕組化
9坪、18坪、30坪の3プランを図書と金額で設定した。3
例)30坪 
建築本体価格2,550万円
1F床面積 49.69㎡(15.00坪)
2F床面積 49.69㎡(15.00坪)
延床面積 99.37㎡(30.00坪)
消費税費用 255万円
付帯工事費(本体価格20%,要見積) 500万円
完成引渡し価格 3,305万円~

・設計図書の作成
プラン:3タイプ
枚数:75枚(3タイプ合計) 助成金対象59枚(仕様書等が重複する為)
内容:基礎詳細図、収まり詳細図、仕上げ表、平面図、立面図、矩形図、建具表、電気・照明図、設備表、展開図、基礎図、伏図

・手引書の作成
目的:五木源住宅「土間のある板倉の家」の販売促進・ブランド力向上を実現し、五木産材木材の需要を増やすことで、五木への森林への還元を行い、林業の仕事と」美しい自然の維持に貢献する。
  • 集客・企画の策定
  • 企画の実施と流れ
  • 名簿の管理と活用
  • チームの指揮運用計画
 
販売技術、人材育成
目的:販売技術を取得する研修
第1回
  • 日時:11月7日 14時~16時
  • 会場:健軍文化ホール3階会議室
  • 対象:メンバー
  • 参加人数:4(松下別途~松下講師)
第2回
  • 日時:11月21日 13時~15時
  • 会場:松下生活研究所
  • 対象:メンバー
  • 参加人数:4(松下別途~松下講師)

結果:会話の注意点と会話力についての説明、相手の話をしっかり聴くこと。この聴くことに慣れていない方が多く、話がずれていくので注意が必要。受注するのではなく何が今課題を抱えているのか、その課題の特定をすることからしか話は始まらない。
そこからスタートするので、資料のように通り一遍には進まない。人によっては、なんども行ったが殆どうまくゆかず、大きな問題があると思った。設計者は自分の思いのたけがあり、すぐ会話を引っ張り勝ちになるので、なんども研修を行わないと形にはならないと実感した。今後は、この事業が終了しても随時研修をしてゆくことにしたい。



 
動画・HP・資料作成(冊子)
・動画
  • 説明:五木源住宅「土間のある板倉の家」のメッセージ、懐かしくも新しいシンプルな暮らしを伝える動画
  • 目的:コロナにより自宅で過ごす時間が増えた今、戸外の時間をうまく取り入れるライフスタイルを土間のある家で過ごして欲しい。
  • 時間:2分程度
  • 対象:一般施主
・HP
  • 説明:HPを見て、家づくりが始まる傾向が強く、自分のライフスタイルや考え方、予算に応じた建築会社や設計事務所を選ぶ。木組みの家づくりの会もその傾向に合わせ、五木源住宅「土間のある板倉の家」のメッセージと定額制のプラン、森と町をつなぐ「木組みの家づくりの会」であること、ランニングコストのかからない家づくりのポイントや板倉の機能などを説明し、メンバー紹介をした。
  • 対象:一般施主
  • ・資料集(冊子)
  • 「土間のある板倉の家」のエッセンスを冊子にした。
  • ページ数:12p
  • 部数:1000部

広報
・オンライン講座
  • 日程:12月6日(日曜)午前10時~12時(2H)
  • 時間:オンラインセミナー2時間(無料)
  • 対象者:一般施主及び関係者 
  • 参加者:8名(内一般3名)
  • 内容:五木源住宅~土間のある板倉建築の家
  • 質素な暮らしを描くライフスタイルの提案、
  • 動画・質素住宅板倉、9つのポイント
・プランニング講座 
  • 日程:12月20日
  • 時間:午前10時~12時(2H)
  • 対象者:一般施主及び関係者 
  • 参加者:7名(内一般2名)
  • 内容:上記同様 
・板倉棟上げ見学会開催
  • 目的:板倉建築の普及啓発
  • 日程:1月16日 14時~17時
  • 会場:持田邸  
  • 対象者:一般、関係者へ
  • 参加者:21名(メンバー参加者6名)
 

事業実施により得られた効果

板倉住宅定額制による3タイプの規格化、営業手引書、動画やHP、リーフレットの作成。グリーンコープ生協や有機生活と連携が可能となり、オンライン講座の開催や産地ツアーの確約が出来た。木組みの家づくりの会のメンバーが建築士で4名、工務店で1社増えた。
今回のオンライン講座参加者は計5名(メンバー別途)、見学会は建築士が主体で21名の参加者となる。
人材育成は今後も継続しなければ2回程度では身につかないと感じた。今回の事業の目的の一つに、「木組みの家づくりの会」の受注できる仕組みと実施体制をつくることもあったので、その目的は果たせた。
 

今後の課題と次年度以降の計画

課題は、会を軌道に乗せること。計画は、連携先の生協やオーガニック直売所有機生活への定期的なオンライン講座や産地ツアー、見学会の開催により、受注を増やしA材需要の喚起と価値を広げたい。また、会の為の定期的な板倉建築勉強会の開催をする。