住宅 関東甲信越

平成27年度 木づかい協力業者による木材利用の促進事業

(一社)全日本木材市場連盟

実施概要

国産材を使っていること及びその環境への貢献度等を具体的に表示するツールを使って、国産材を採用した家づくりを行った建築主(以下、「施主」という。)が、国産材を使って家を建てたことを他者(親族・友人・知人等)に誇るためのツールを試作し、その普及・定着に取り組む際の留意点や課題を抽出・提示した。具体的に6種類のツールに対する一般消費者の意向をアンケート調査で把握・分析することにより、適当な価格やデザインの嗜好性等を明らかにした。
 

得られた効果

国産材を使った家づくりを自慢するツールとして評価が高かったのは、20分の1の模型(時計付き)が一位で、木のハガキの挨拶状やウェルカムボード、木の定礎版などはほぼ同じ支持率だった。また、価格は1万円までとする意見が多かった。これらの結果を基に、住宅メーカー等での採用を進めていくに当たっては、①1万円程度のコストで、実際の住宅のミニチュアを主体にしたツールが一定の評価を受けた点等を重点的に説明・斡旋していくことに留意するとともに、②一般消費者の意向として、全体の8割が国産材での家づくりをしたいと答えたこと、使用したい箇所としてはフローリングや骨組み、壁・天井など「見えるところ」であり、さらに国産材の良さとして、快適さや健康に良い点を挙げていることや、国産材の家を選ぶ根拠として、信頼性や純木造などにこだわっていることなどを重視することが課題であることの2点を丁寧に説明していく必要があることが分かった。

 

今後の課題と次年度以降の計画

今回の調査・分析では、6つの試作品についての一般消費者の意向及び国産材を採用した住宅についての意向が確認でき、国産材住宅をさらに普及・周知していくための具体的なツール案を提示できたが、限られたデータ数であり、更なる調査対象数の増加が課題であるとともに、より詳細な質問内容によって、施主がより意欲的に、国産材の家をアピールできるツールのデザインや価格、要件などを掘り下げていく必要がある。加えて、住宅供給者側の販売戦略として、地域の工務店等が受け入れやすい手法と、大手ビルダーが採用しやすいツールとを区分して検討・提示する必要があり、供給者を対象とした追加的調査・分析も不可欠である。
一方、今回の調査で得られた結果に留意して、趣旨に賛同するビルダーによる試行的な取組みを行うことにより、実際に新たな販売戦略の取組みを行い、どのような反応や効果があるかを検証してみることも今回の成果を生かす観点から次年度の興味ある課題として提示する価値があると考える。