栗山町ドライウッド協同組合

平成28年度 工務店等と林業・木材加工業の連携による住宅づくり等への支援事業

栗山町ドライウッド協同組合

実施概要

■事業の目的
 栗山町ドライウッド協同組合および北海道産木材流通促進協議会は,連携企業・機関が連携して,北海道に広く賦存するカラマツ資源を活用した高品質建築用材生産(特に無垢平角材)に向けた乾燥技術の確立,建築用材として活用していく上で課題となる素材生産から製材,乾燥,プレカット,工務店までの効率的な原材料の調達・生産・供給方法について調査し,SCM構築の可能性を協議し検討を行うこととした(図1)。
 
図1.事業概要図
 
■結果
項目1.カラマツ心持ち平角材乾燥技術の確立
 林産試験場で構築しつつある同材乾燥技術をベースとして,実大規模で乾燥試験を実施し実証的検討を行った。具体的には,材背210,240,300mmの連続乾燥を行い,品質に強く影響する割れや捻じれなどの変形抑制技術を実大規模において確認し,一定程度の技術確立をした。
写真1 平角乾燥試験の様子(生材) 写真2 平角乾燥試験の様子(木口処理,乾燥前)
 
項目2.生産設備を含めた生産工程・供給方法
 栗山町ドライウッド協同組合敷地内には,将来貸与を受けることが可能な製材設備があることから(所有:(株)たいせつ,現在休止中),同施設を再稼働した場合の,製材から乾燥までの一貫製造でのコストを算出し,採算ラインおよび規模について検討した。その結果,採算ラインは原木処理で約9600m3,カラマツ製材3,851m3(正角(3m,3.65m),土台角,平角,ラミナ),トドマツ製材5,798m3(羽柄材)の乾燥を含めた製造原価は,63,000円,63,000円,51,000円,103,000円,19,000円/m3,および,37,000円/m3と試算された。

項目3.道産材供給のためのSCM構築
1)原木供給体制
 北海道においては,原木市場を有さないほか,素材生産には季節性があり,製材工場での原木調達期間が不定期となっているとともに安定性が担保されていない。このことから,過大な原木在庫を持つ傾向がある。
そこで,安定的な原木供給やSCM構築に資すると考えられる原木径級(一部強度)選別拠点の設置効果について,そのコストや必要規模などの聞き取り調査を行った。3万m3以上の原木を挽く工場においては,生産性・歩留まりに寄与することが明らかとなった。

2)製品供給体制
  • 国産材の需要拡大を目指した各種取り組みについて先進地調査を行った。その結果,外材の価格に合わせるために規模の拡大,合わせて原木の供給の仕組みを作っていた。
  • サプライチェーン構築のために札樽圏に対して地域材を効率的に供給するために具備すべき物流機能について,地域材を使うことに意識が高い工務店などを交えて地域材シェア拡大のための「あるべき姿」を協議した。その結果,
  • カラマツコアドライに限らず,道産材については各段階での生産のリードタイムが長いことから,各生産者との協働・連携が欠かせないことが分かった
  • 現状の原木の供給体制については,コアドライ製品に必要な長さや径級のものが入荷難いことも明らかになった
    以上から,川上と川中との強固な連携が今後の課題として残った。
 
項目4.試作したカラマツ平角材を用いた市場調査
  • 木と住まいの大博覧会(於:東京ビッグサイト)において,各県での需要拡大に向けた取り組みを調査した。高級材であるヒノキ材や吉野スギにおいても,工務店等への市場展開には苦慮していることが明らかとなった。
  • 北海道立総合研究機構建築本部北方建築総合研究所に,試作したカラマツ平角材およびコアドライを用いた展示ブースを設置した。「表し」での使用については概ね好評であり,今後,カラマツ製材の付加価値向上においては工法およびデザインなどの見せ方が重要性と判断された。
 
写真4 北方建築総合研究所ロビーに設置した平角材・コアドライによる展示ブース
 

事業実施により得られた効果

  • コアドライ水準(定義:内部まで均一な乾燥,表面割れおよび内部割れの少ない仕上がり)の乾燥技術を平角材においても一定程度確率することができた。
  • 道産材の利用促進を図るための組織として北海道産木材流通促進協議会を立ち上げることができた。構成員として川上側の森林組合,川中の製材・乾燥工場,川下の建築側が一同に会して流通促進上の課題認識を一にすることができた。また,アドバイザーとして,国,道,市町村,研究機関の参画を得られたことで,今後の林務関係施策への反映にもつなげられる。
 

今後の課題と次年度以降の計画

 本事業で明らかになった課題を列挙する。
  • 栗山町ドライウッド協同組合事務所において経時変化を確認していたコアドライ(柱)において,冬季において割れを生じた。強度的には問題はないものと考えるものの,表しに使用した場合にはクレーム対象となりうるものであった。断面寸法がさらに大きな平角材においても同様の問題が発生する危惧がある。よって,今後は使用環境に応じた仕上がり含水率を明らかにする必要がある。
  • 製材工場を持たない森林組合においては,その経営実態は極めて厳しいものがあった。また,森林所有者への利益還元については,その原資を生み出す状況にはない。意欲として独自の製材工場を持ちたいと思いつつも,営業ルート,流通ルート,工場を動かすノウハウ,資金力などを持ち合わせないことから,資源の移転に終始している現状があった。付加価値向上には各森林組合が独自に製材工場を持たなければならないという固定観念から離れ,発想を変えれば立地としては札樽圏に近い所に共同で製材工場を持つ意義について検討する必要があると考えられた。
 本事業によって,以下の効果が得られた。
  • コアドライ水準(定義:内部まで均一な乾燥,表面割れおよび内部割れの少ない仕上がり)の乾燥技術を平角材において確率することができた。併せて,木割れ抑制技術に見通しを得たことから,長さ歩留まり向上にも寄与しコスト低減につながることが期待できる。
  • 道産材の利用促進を図るための組織として北海道産木材流通促進協議会を立ち上げることができた。構成員として川上側の森林組合,川中の製材・乾燥工場,川下の建築側,およびが一同に会して流通促進上の課題認識を一にすることができた。また,アドバイザーとして,国,道,市町村,研究機関の参画を得られたことで,今後の林務関係施策への反映にもつなげられる。