東京中央木材市場買方組合 住まいるCHANCEネットワーク

平成28年度 工務店等と林業・木材加工業の連携による住宅づくり等への支援事業

東京中央木材市場買方組合
住まいるCHANCEネットワーク

実施概要

 本事業は、東京中央木材市場株式会社の買方組合が組織する「住まいるCHANCEネットワーク」が中心となり実施するものであり、この「住まいるCHANCEネットワーク」は、ネットワークに参加する全国の工務店、設計事務所・建築士、木材店等により構成されており、三位一体のネットワークを通じて、木造住宅に係る地域材の需要拡大に取り組むとともに、それぞれの資質の向上ために、「木づかい活用コーディネーター養成事業」などを行い、住宅やマンションリフォーム、公共施設等に特に無垢の木材(JAS・合法材等)が多く使用されるよう活動を展開している。
 本事業を確実に執行するため、「住まいるCHANCEネットワーク」の事務局である東京中央木材市場株式会社が事務及び進行管理、指導監督を行うとともに、具体的な事業実施内容や事業効果等を検討するため、「工務店等と林業・木材加工業の連携による住宅づくり等への支援事業企画・運営会議」(略称:支援事業企画・運営会議)を一般社団法人千葉県木材振興協会や関係する建築団体等の者を構成員として組織することとする。
 次の1の事業企画・運営会議を設置して、事業全般の企画・運営等を検討して、次の2及び3の事業を適正かつ円滑に実施するものとする。
 
1 工務店等と林業・木材加工業の連携による住宅づくり等への支援事業企画・運営会議
(略称:支援事業企画・運営会議)の開催
本事業の実施内容の具体的な企画や進行管理及び事業成果の活用方法等を検討する為、「支援事業企画・運営会議」を組織して、会議を開催して、本事業が適正かつ円滑に実施出来るようにする。
・東京中央木材市場買方組合「住まいるCHANCEネットワーク」
・東京中央木材市場株式会社
・一般社団法人千葉県木材振興協会
・オブザーバー : 千葉県、奈良県、和歌山県等の木材産地の関係者
2 首都圏の工務店・建築士やユーザーと木材産地を結ぶイベントの開催
(略称:工務店等と木材産地との連携強化事業)
東京中央木材市場買方組合の「住まいるCHANCEネットワーク」は、①木材市場に全国から集まる豊富な木材と、②無垢の木を活かす確かな技術を持った工務店等と、③木を知り尽くした設計士の三者が、三位一体となりユーザーに対して地域材を利用した木造住宅を供給してきた。今回、これらの三位一体の連携の強化及び組織の拡大と全国の有名な木材産地との連携を強化して、木造住宅づくりの拡大を図るため、次の3回のイベントを開催。
 * 対象者:住まいるCHANCEネットワークの工務店及び設計士、
無垢の木の活用等して差別化を発信するビルダー
地域材を利用して住宅建築を検討しているユーザー等
(1)千葉県産サンブスギ材等の丸ごと体験ツアーの開催(樹魁act.7 第1弾)
① 開催日:10月15日(土)
② ツアー内容:
・千葉県の銘柄材である「山武杉」を丸ごと体験する為、バスツアーを開催
・ツアー先の施設においては、施設等の関係者からミニ講義をしてもらう。
③ ツアー先:
・(株)ティー・エス・シー
 取締役会長 田渕 和正 様・代表取締役社長 和間 真一 様 より
 サンブスギモデルルームの見学と集成材工場見学、案内・ミニ講義 
・千葉県木材市場協同組合
 常任理事 小安 司 様より
 サンブスギ原木丸太・製材品の見学案内、ミニ講義 
 
・千葉県農林総合研究センター 森林研究所
 所長 福島 成樹 様より
 山武杉の歴史について講演・原木を見ながら説明       
・(有)勝又木材
 代表取締役社長 勝又 健夫 様 ・ 専務取締役 勝又 義雄 様より
 山武杉丸太の製材、手刻み現場の見学案内・説明        
     ④ 参加人数:20名 (中型バス1台)
(2)奈良・吉野材の丸ごと体験講座の開催(樹魁act.7 第2弾)
① 開催日:11月5日(土)
② 参加人数:94名
③ 講座内容:奈良・吉野材の現状や奈良・吉野材の特徴、良さ、奈良・吉野材
から生産される木材製品などについて、現地の関係者による講演。場内に
設置してある展示場に奈良・吉野材製品等を展示して内覧会を開催≫
・奈良県農林部 奈良の木ブランド課
  参事 室垣内 清明 様より
 「奈良県産材の歴史と奈良県産のPR」について講義
・吉野の山守7代目 中神木材代表
 吉野町議会議員 中井 章太 様より
 「日本遺産 吉野 林業の歩みと木のまち 吉野の取り組み」について講演
・木のいえ一番振興協会 専務理事 中山 義治 様より
 「木材の現わし使用の手引きについて」の講演
・吉野桜井木材成年クラブ
 会長 藤田 崇彦 様 ・ 前会長 松原 剛 様 より
 ショールームにて
 「吉野材作り手 奈良県の製材所の特徴」について講義、吉野材の説明
室垣内 氏 中井 氏
中山 氏 藤田 氏  松原 氏
            
(3)紀州材の丸ごと体験講座の開催(樹魁act.7 第3弾)
① 開催日:12月3日(土)
② 参加人数:92名
③ 講座内容:紀州材の現状や紀州材の特徴、良さ、紀州材から生産される木材
製品などについて、現地の関係者による講演。場内に設置してある展示場
紀州材製品等を展示して内覧会を開催≫
・千葉大学環境健康フィールド科学センター 副センター長
 教授 医学博士 宮崎 良文 様より
 「木の快適性を科学する」 ~生理的リラックス効果の検証~ の講演
・龍神村森林組合 組合長  紀州木材緑友会 会長  眞砂 佳明 様
 ㈱宮地製材所 専務取締役 和歌山県御坊市 市議会議員 宮地 雅仁 様
 「和歌山・紀州材とは」 について講義
・(株)山長商店 代表取締役会長 榎本 長治 様より
 「紀州材活用の実践」 について講演
・紀州木材緑友会メンバー より
 ショールームにて、「紀州材丸ごと体験」 紀州材の説明     
宮崎 氏 眞砂 氏 宮地 氏
榎本 氏 ショールームにて
 
3 全国優良銘柄材を活用した内外装材・造作材等の展示と普及・啓発事業
全国の優良な銘柄材が集まる東京中央木材市場の地の利を生かして、内外装製品や建具製品、テーブル・カウンター製品等を常設展示と特別会場での展示を併用して、関係者にPRし、首都圏地域における地域材利用製品の情報の発信基地とする。
    ・有名木材産地の木材製品等の整備と展示
    ・産地材の紹介と説明、純和風建築(手刻み加工による)のモデルキットの展示
 

事業実施により得られた効果

 木造住宅のユーザーとの最初の接点となる工務店、建築士、木材販売業者等において、木材(特に地域材の産地など)に係る様々な知識や情報を持っていることは非常に重要なことであり、特に全国の有名な木材産地の森林・木材等の実情や産地の木材製品の種類や特徴などの知識や情報などを得ることは、ユーザーとの窓口において、地域材利用の木造住宅をアピールするためには、是非とも必要かつ重要なことである。本事業の「木材産地に係る丸ごと体験講座」は3回開催し、現地へのバスツアーも実施することにより、住まいるCHANCEネットワークの構成員としての役割りを果たすための資質の向上を図ることができ、今後の、地域材を利用した住宅等の普及・啓発が強力かつスムーズとなり、これにより、地域材の需要拡大に大いに繋がることが期待出来た。また、当該体験講座には、工務店等のお客様であるユーザーも参加できることから、ユーザーとの接点が広がることとなり、また、ユーザーが講義を受講し、展示してある内外装材製品やテーブル板等の住宅に付帯する製品等を理解することにより、工務店や設計士とユーザーとの接点が更に強固なものとなり、地域材への理解と需要拡大への推進となる。更に、当木材市場では、住宅の骨組み施設や全国の優良銘柄材の内外装材製品等の常設展示施設が整備されて、木材製品や材料に価格表示がされ、展示場を更に整備して充実させて、この講座を開設することにより、木材製品等の質感をその場で実感することができ、工務店や設計士等の知識と視野が広がり、ユーザーとの接点が更に強固なものとなり、地域材への理解を深め地域材の需要拡大へと繋がることが出来た。
 

今後の課題と次年度以降の計画

 本事業により整備した、ショールーム・和室モデルの躯体について、設計士やユーザーの為に価格表示をして常設展示されており、今後、木材関係書や工務店関係者・設計関係者等の方に、多くの来場を頂き、木造住宅の良さや無垢材の良さ、部材の価格を伝えて行く。今後も、住宅内装等に様々な種類の木材を使用したショールームを設置し、展示施設を充実させ、また、純和風建築物(無垢材の現わし)のモデルキットの外壁や壁、屋根なども完成させ、域材の活用した、木造住宅の普及・啓発を行っていく。