エコーウッド富山株式会社

令和3年度 顔の見える木材での快適空間づくり事業

エコーウッド富山株式会社

事務局所在:富山県

事業計画

事業計画(pdfで表示されます)
 

実施概要

実施団体の説明
 木材の関係する企業を抽出して、県木連と受け手である園の先生にも参加頂き、協議会を構成して運営を行った。組織図を次に示す。
 
 
事業の目的

 全国で猛威を奮っているコロナウィルスの影響で、本来であれば野山を遊びまわっている園児達は、家庭やこども園内の活動に制限されている。このような状況から、木工作などの木育教室を行うことで、こどもたちに楽しんでもらいながら木に関心を持ってもらい、未来の木材産業に携わる人材及び利用者の育成を目指す。また、参加者は日本一の散居村の面積を有する砺波地方(小矢部市、南砺市、砺波市 計3市)の 39 園のうち 16 園 705 名の園児が参加する。事業はコロナを考慮して、園児及び先生とは非接触で行う。
 また、今回の事業を通して木材の活用を図るため、各事業及び「木育」に関する試作品の製作を行う。これらを体験することで、未来の木材事業者及び利用者の育成を目指す。
 

事業内容・結果
事業は次に示すスケジュールで行った。
 

(1)園児の絵本づくり
 森林資源の循環・効果をわかりやすく紹介した絵本を園児に製本してもらい、自分だけの森の絵本をつくってもらった。また、絵本は先生に読み聞かせしてもらった。
 697名・16園の園児参加

絵本の表紙
活動写真
 
(2)園児による木材を活用したパネル板づくり
 八つ切り画用紙に5歳児は「木」、4歳児は「花」を描いてもらった。絵のデータをスギ板パネルに大型インクジェットプリンターで印刷して、装飾板を製作し、園の希望する場所へ飾った。
 705名・16園の園児参加
 
活動写真
 
(3)DVDによる木材を活用してクリスマスツリー等づくり
 県内在住の木工おもちゃ作家 五十里伊規子 氏は昨年、氷見市海浜植物園において木育施設へのリニューアルに貢献され、大勢の親子を楽しませている。五十里氏に木工キットの製作とDVDへの出演を依頼し、作り方を収録したDVDを製作した。このDVDとキットを各園に配布して、参加者全員にDVDを見てもらい園児に置物をつくってもらった。
 ※木工おもちゃの積み木は広葉樹(サクラ,クルミ,クヌギ等)
  705名・16園の園児参加
活動写真

(4)アンケート調査の実施(詳細はアンケート結果参照)
 絵本とパネル板づくりについて園児にアンケートを実施した。また、木工作品づくりでは先生にアンケートを実施し、商品化に活かすこととした。
 

事業実施により得られた効果

(1)園児の絵本づくり
 絵本には、ほのぼのとした田舎の6人家族が登場。森の仕事をしているおじいちゃんを中心に森林資源の循環・効果をわかりやすく紹介している。荒天日の夜、豪雨・強風が家屋を襲うが森のお陰で家族皆が守られる内容。園の先生から読み聞かせをしてもらった園児は、森林の役割などへの理解が深まった。

(2)園児による木材を活用したパネル板づくり
 散居村の家屋の周囲にカイニョと呼ばれる屋敷林があり、冬の厳しい風雪害の防御としている。この地方で育てられた山間部の成熟した杉林を使い、パネル板に加工・連結させた。園児が描いた木や花の絵を木材に印刷することにより、素敵な装飾パネルができた。園児が喜んだのはもちろんであるが、保護者からは感嘆の声をきくことができた。
 
水島保育所
大谷こども園(他 14 園)
大谷こども園では贈呈式をして頂き、地方紙の北日本新聞注1)に掲載された。
注1:発行部数約24万部、県内普及率約60%富山県を代表する地方紙

(3)DVDによる木材を活用したパネル板づくり
 DVDの効果で、園の先生の負担が軽減できた。積み木のサンドペーパー掛けは、園児が苦戦している様子であったが、樹種の違いによる木の粉から発生する香りや異なる重さを体感してもらった。
 
園児の作品
(4)アンケート調査の実施
 アンケート結果は次の通りであった。なお、最初の1~3は FAX による回答で、4は聞き取り調査で行った。
 その結果、1、2とも、概ね園児は楽しんで作業して頂き、満足感を得たものと思われ90%以上の結果であった。3は、積み木の面取りにかなり手こずっている様子であったが、積み木の量及び大きさも良好な結果であった。4は、園の先生には新たな取り組みで戸惑っている様子が伺え(「はい」+「何とも言えない」)で50%以上であった。また、来年度の取組を明確に答えて頂いた方の割合は44%であった。
 園児は自由に遊べない中、今回の事業で大変楽しんで取り組んでもらった。身近な植物である「木」に触れる機会が教室で体験され、「木」の良さを感じて頂いたと思う。但し、園の先生に新たな負担が一部見られ、その結果がアンケートに反映されたと推測する。木工作品づくりでは、DVDに収録した動画を参考にされ、先生の負担軽減に繋がったと思われる。



③の意見
・面取り作業は、園児に難しかったが、良い経験であったと思う。仕上がりはとても喜んでいた。
・子供たちは、楽しく参加できました。絵を書く(積木)には大きさはよかったのですが活用する時はもう1cm大きい方が活用するには良かったと思います。良い経験をさせていただきありがとうございました。
・マジックで色つけをしたけれど、まちがえてしまったり色が混じってしまったりで途中でくじけてしまう園児が数名居た。サンドペーパーの扱いが難しく、木に貼り付けてこすった方がやりやすい様だった。面取りの理解が難しい園児が多かった。
・サンドペーパー後の丁度良い見きわめが子供達にとって難しかった。サイズ感が小さいので、細かい絵が描きづらそうだった。
・木の大きさが小さくやすりをかけること,絵を描くこと,全体的に4,5歳児が作るには難しかった。

(5)協議会の開催
 今回の活動中に木育関係者、園の先生及び関係者で3回協議会を開催した。協議会では園長から園の運営について現状や行事実施における助言を頂くことができ、今回の事業の運営をほぼ潤滑に実施できた。

協議会
(6)商品化
 今回の事業を通して、「木育」から得られた成果を対象に新たな商品化を試みた。その商品及び試作品を紹介する。因みにこの分野は、使用する木積の約10倍の木積を使用する。

 積み木は、米ぬかを原料するオイル「キヌカ」を使用しており安心・安全です。お客さんは、幼少期のお子さんにターゲットを当てており、木に触れることで木の良さ(質感、暖かさなど)を肌で感じてもらう木製品です。
積み木キット(見本:非売品) 2 段目,3 段目もあり 価格は検討中
(円柱の積み木を入れることで取り出しが容易になりました。)

 小さなオーナメントを作ることで、端材や木取りのしにくい国産材の活用につなげることを目標に商品化しました。量産するのでなく、一つ一つ手作りすることで商品の良さを知ってもらいたい。また、作るために木を切るのでなく、ある木材を生かすことでSDGs15に貢献できたらと思う。
箱付きのオーナメント(見本:非売品、5種類有り)
(オイルはオスモカラーを使用しており、安全です。)
試作品
 対象を園児と親子としていますが、価格面で数万円となり再検討であり、製品としても色合い・図柄が物足りないと思っています。早急に検討してネット及びカタログ販売に繋げたい。
パズル1
 パズル2 世界六大陸パズル
アジア
ヨーロッパ
オセアニア
(他、アフリカ、北アメリカ、南アメリカの面あり)
 

今後の課題と次年度以降の計画

 事業期間が5ケ月間でできる事業を関係者と協議会を通じて実践したが、園の運営に携わる先生への負担増になったことは事実であり、テーマを絞る必要性を感じた。その分、隣市に声掛けして園児1,000人程度の規模を実践してみたい。園の関係者から1年間で終わるのではなく、さらに継続してほしいとの意見を多く聞くことができた。