熊野林星会

令和3年度 顔の見える木材での快適空間づくり事業

熊野林星会

事業計画

事業計画(pdfで表示されます)
 

実施概要

実施主体/熊野林星会
 熊野林星会は「地域社会に貢献し、熊野の木のファンを増やそう」を理念に三重県熊野市を中心に活動している団体で、川上から川下までの関係者21名の会員で構成されており、2015年から三重大学との協働、また様々な地域団体を巻き込み、熊野木育プロジェクトを開始。
 
A材普及リーダー養成プログラム(セーザイゲーム)について
 セーザイゲームは、これまでの過程の中で、熊野林星会と三重大学生物資源科学部が共同で開発、実施、検証、改善を行ってきました。本事業において、商品、教材レベルまでセーザイゲームのクオリティーを向上させ、全国的な木育(A材普及)ツールの制作と展開を目指す。
 
事業の目的
 本事業は、A材価値の向上を目的とし、A材の普及への寄与が期待できる行政職員、林業大学校職員および生徒・建築士・設計士・工務店職員等をA材普及リーダーへと養成する。そのために、熊野林星会と三重大学で共同開発した“セーザイゲーム”を軸として、A材のための育林から素材生産、A材の高価値化が木材産業にもたらす影響をゲームで学び、また、A材およびその他の材で作られた木製品サンプルの比較により、A材の多面的な価値を学ぶことができるA材普及リーダー養成プログラムを開発・実施する。
 
セーザイゲームの本格的ゲーム化
   セーザイゲームを、より高度で、現実世界に即したゲームバランスへと再調整する。これにより、現在のセーザイゲームが持つ“原木や製材製品の価値について学ぶことができる”性質を高め、参加者がA材の価値をより深く理解することが期待できる。
高品質木材を使用したセーザイゲームキットや補助教材の開発
②-1 セーザイゲームで使用する小道具類を高品質木材で作製する。
   セーザイゲームに使用する原木カード・木取りカード等をA材により木質化する。このことにより参加者は、セーザイゲーム実施中にA材と触れ合う機会を得るため、A材の価値を実体験し理解することができる。
②-2 講習プログラムで使用する小道具類を高品質木材で作製する。
   講習プログラムでは、セーザイゲームで製品として仮想的に製造される柱や板の、A材で作製した実物を用いる。またこのとき、A材以外の原木から製造した同様の製品サンプルと比較することで、参加者は相対的なA材の価値を実体験として理解することができる。
A材普及リーダー養成プログラムの開発
   ②で本格的ゲーム化した新しいセーザイゲームおよび木質の道具類を用いた教育プログラムを開発する。
③のモデル講習実施とアンケート調査及びホームページ制作と事業プロモーションの実施
④-1  モデル講習を実施し、その実施前後で対象者らにアンケート等の調査を実施し、教育効果を検討する。プログラムの完成度を高めるため、結果を③にフィードバックする。
④-2  事業完了後の展開を考慮し、セーザイゲームの発信と集客、ホームページの制作を含めたプロモーションを行う。
熊野木育会議の開催
   事業内容の検討・進捗の確認等を行うための会議を実施する。
 
高品質木材を使用したセーザイゲームキットや補助教材の開発
実施内容及び結果等
1.株式会社いないいないばぁ(東京都渋谷区神宮前5-29-9-703/https://www.i-i-b.jp/)と林星会、三重大学によるセーザイゲーム開発へ向けた対面打ち合わせの開催。
 1 開催日 /9月19日
 2 開催場所/三重県熊野市井戸町789-3(林星会会員事業所内)
 3 参加者 /株式会社いないいないばぁ2名
   林星会 野地 良成、伊東 裕将/三重大学 山本 康介 助教授 (計4名)
 4 内容
  • セーザイゲーム(現行モデル)をテストし、先ず、業者への理解を深めることを目的に、セーザイゲームのゲーム性、デザイン性について意見交換とゲーム制作の役割調整等を行った。
  • 今後のスケジュールと制作進行における手法の取り決めを行った。
    ※今後の制作をスムーズにするため、Chatworkを活用し、リアルタイムで情報共有、確認作業を行う。
2.株式会社いないいないばぁ(東京都渋谷区神宮前5-29-9-703/https://www.i-i-b.jp/ )と林星会セーザイゲーム実務担当者との開発へ向けたオンライン会議の開催。
 1 開催日/10月9日
 2 開催場所 / Zoom
 3 参加者 /株式会社いないいないばぁ2名 林星会1名
 4 内容
  • 進捗状況、及びゲーム性について確認を行った。また、現行モデルの課題でもあるゲームの複雑な部分をいかにゲーム本来の目的を損なわずに簡略化していくのか、ファシリテーターの負担軽減について提案があり、意見交換を行った。
(主な改善提案)・原木カードに碁盤目模様を入れる。・部材カードのデザイン修正
※上記の修正により、課題の計算・確認部分を改善することで、ファシリテーターの役割を簡略化。

3.株式会社いないいないばぁ( https://www.i-i-b.jp/ )と林星会・三重大学、セーザイゲームの開発へ向けた会議の開催。
 1 開催日 / 11月2日
 2 開催場所 / 東京都渋谷区神宮前5-29-9-703
 3 参加者 /株式会社いないいないばぁ3名
       林星会 野地伸卓、野地良成、伊東裕将/三重大学 山本康介助教授
 4 内容
  • 現状モデルのテストプレイを実施。現状モデルの課題について協議。
(以前の主な改善提案)・原木カードに碁盤目模様を入れる。・部材カードのデザイン修正。以上の修正により、課題の計算・確認部分を改善することで、ファシリテーターの役割を簡略化に成功。さらに、部材カードの種類を増やしゲーム性も高まった。また、デザインについては意見も多く、さらにブラッシュアップを行い、デザイン性だけでなく、ゲームの進行をスムーズにするための改良を加えることとなった。
熊野市内での会議の様子 オンライン会議の様子 東京都での会議の様子

(成果物)セーザイゲーム
ブラッシュアップを重ね完成したセーザイゲームキット
 
モデル講習実施とアンケート調査
実施内容及び結果等
モデル講習・調査の実施-1(新渡戸文化高校)

1 開催日 / 11月10日
2 参加者 / 熊野林星会3名
      三重大学 山本康介助教授
3 対象者 / 新渡戸文化高校(東京都中野区本町6-38-1)
       学生3名と先生1名、引率者1名(計5名)
4 開催場所/ レンタルスペースきのもり、原木市場、
       野地木材工業(製材所)
5 内容/モデル講習の実施①座学 ②セーザイゲーム ③見学
 
新渡戸学園画像

モデル講習・調査の実施-2(久居農林高校)

1 開催日 / 11月16日
2 参加者 / 熊野林星会5名 
      三重大学 学生2名
3 対象者 / 久居農林高校環境保全コース3年生30名 
            教員1名
4 オブザーブ / 三重県職員 3名
5 開催場所/ 久居農林高校
      (三重県津市久居東鷹跡町105)
6 内容/アンケート(実施前)/セーザイゲーム/座学/
    質疑応答/アンケート(実施後)
 
久居農林高校画像
(オブザーブいただいた三重県職員からのコメント)
•わかりやすいゲームで、誰でも参加できる。単にゲームだけで終わるのではなく、最後の講義でさらに理解を深める形がよかった。
•やんちゃな高校生が、目を輝かせて取り組んでいたのが、ゲームの楽しさを象徴している。原木カードの目利きは、あまり理解していなかったようなので、もう少し説明したらどうか。
•ゲーム終了後、生徒から来週も実施してほしいとリクエストがあっようである。今までの出前授業ではこのようなことはなかった。また、最後の製材の説明が、大変わかりやすく、生徒が集中して聞いていた。
•ゲームとして、ほぼ完成している印象を受けた。今後、林星会さん以外でも実施できるよう、コーディネーターの育成が必要。
モデル講習・調査の実施―3(熊野サミット)

1 開催日 / 11月27日
2 参加者 / 熊野林星会5名  
3 対象者 /
 1)三重大学 坂本教授、他学生3名    
 2)早稲田大学 高口教授、研究室・学生4名
 3)近畿大学建築学部建築学科 
   講師 多田氏、佐野氏、学生13名
 4)熊野商工会議所青年部、他関係者12名
   合計41名
4 開催場所/
 熊野市文化交流センター交流ホール(熊野市井戸町643-2)
5 内容/
 アンケート(実施前)/セーザイゲーム/座学/アンケート(実施後)
※熊野商工会議所青年部主催の民間、大学の合同発表会「熊野サミット」令和3年11月27日・28日開催の中で、熊野林星会として、セーザイゲームの実施として参加。
 
熊野サミット出展講習
 
熊野サミット出展講習
モデル講習・調査の実施-4(三重大学生物資源学部)
三重大学でのセーザイゲームモデル講習

1 日時 / 12月17日12:30~14:30
2 場所 / 三重大学生物資源学棟118
3 参加者 / 熊野林星会会員 4名
4 対象者 / 三重大学生物資源学部学生2年生24名
      講師3名、オブザーブ学生5名
5 内容 / セーザイゲームの実施及び調査、動画撮影
 
三重大学でのモデル講習

モデル講習・調査の実施-5(早稲田大学 建築学部)
早稲田大学でのセーザイゲームモデル講習

1 日時 / 12月20日10:00~12:00
2 場所 / 西早稲田キャンパス55号館1階アトリウム
3 参加者 / 熊野林星会会員 2名 
4 対象者 / 早稲田大学建築学部 高口研究室 30名
5 内容 / セーザイゲームの実施及び調査、動画撮影
早稲田大学でのモデル講習
モデル講習・調査の実施-6(株式会社ベガハウス)

1 開催日 / 1月11日12日
2 参加者 / 熊野林星会5名 
      三重大学 山本康介准教授
3 対象者 / 株式会社ベガハウス従業員15名、鹿児島大学学生2名 関連会社4名 計21名
4 開催場所/ 株式会社ベガハウス
     (〒899-2701 鹿児島県鹿児島市石谷町3624−9)
     (会社URL https://www.vegahouse.biz/ )
5 内容
・九州の林業見学・工務店でのセーザイゲーム実施・九州の製材所見学
今回の事業でのセーザイゲームの実施については、コロナ禍において、手法をイベントから出張に切り替えたことにより、対象者も①高校生②大学生③一般と幅広く多くの方に参加いただくモデル講習を開催することができた。

④-2
(ホームページ)https://rinseikai.net/


(プロモーション動画)https://rinseikai.net/sezaigame/
 
熊野木育会議の開催
  事業内容の検討・進捗の確認等を行うための会議を実施する。
実施内容及び結果等
(注)コロナ禍の影響で、会議をできる限りオンライン化し、内容も事業項目の域を超えて実施することとなったため、本項にまとめて記載。
第1回会議
・開催日 /8月27日・開催場所 / オンライン会議ツールZoom
・参加者 /熊野林星会4名 三重大学 山本康介准教授・三重大学 坂本竜彦教授
第2回会議
・開催日/9月9日・参加者/熊野林星会 6名、三重大学 山本 康介助教授 計 7名
・開催場所 / Zoomにて
第3回会議
・開催日/9月30日・参加者/熊野林星会4名/三重大学 山本助教授、坂本教授、他、三重大学生3名(計5名)/早稲田大学 高口教授、研究室・学生3名/近畿大学建築学部建築学科 講師多田氏、佐野氏、学生6名(計8名)・開催場所 / Zoom
第4回会議
・開催日 / 10月22日・参加者 / 熊野林星会4名・開催場所/ 熊野市林業会館
第5回会議
・開催日/第4回の会議後(10月22日同日)・参加者/熊野林星会3名 /熊野商工会議所青年部 4名 /三重大学 山本助教授、坂本教授、他、三重大学生1名(計3名)/早稲田大学 高口教授、研究室・学生2名(計3名)/近畿大学建築学部建築学科 講師多田氏、佐野氏、学生2名(計4名)・開催場所/レンタルスペースきのもり及びZoom
第6回会議
・日時/令和3年11月16日・場所/レンタルスペースきのもり・参加者/熊野林星会6名
第7回会議
・開催日 / 11月18日・参加者/熊野林星会、三重大学関係者、早稲田大学関係者、近畿大学関係者、熊野商工会議所青年部関係者・場所/レンタルスペースきのもり(オンライン会議)
第8回会議
・開催日/12月1日・場所/レンタルスペースきのもり・参加者/熊野林星会会員6名
第9回会議
・開催日/12月2日・参加者/熊野林星会6名・三重大学 山本康介助教授、三重大学 坂本竜彦教授(オンライン)・場所/ 熊野市林業会館2階会議室(一部オンライン)
第10回会議 
・開催日/12月5日・参加者/熊野林星会4名・場所/Zoom(オンラインにて開催)
 

事業実施により得られた効果

事業①「セーザイゲームの本格的ゲーム化」
セーザイゲームのバランス等再調整であり、ゲーム会社によるプロ目線での修正が入ったことによって、ゲームの本質的な内容にストレスなくプレイヤー(受講者)がアクセスできるようになった。特に、道具類のデザイン刷新によりルールがより直感的に把握できるようになり、事前のルール説明等にかかる時間を短縮することができ、限られた時間の中で実施する教育プログラムにおいて、重要な学びの時間を長くとることができるようになった。
 
事業②「高品質木材を使用したセーザイゲームキットや補助教材の開発」
セーザイゲームや教育プログラムで使用する道具類の木質化を行った。A材の良さを伝えるための最も効果的で簡便な方法は、質の良いA材に触れさせることに他ならない。このことを教育プログラム中において実行できるようになった。
 
事業③「A材普及リーダー養成プログラムの開発」
セーザイゲームを軸としたA材普及リーダー養成プログラムとして、(1)林業に関する講義、(2)製材に関する講義、(3)セーザイゲーム、(4)林業や製材に関するより詳しい講義の4つで構成されたモデル講義を実施した。(1)および(2)の講義内容はごく簡単なものにとどめ、(3)でセーザイゲームを実施することによって、(4)の講義を充実したより深い内容で実施しても受講者が“実体験として”理解できるよう工夫された教育プログラムが完成した。
 
事業④「③のモデル講習実施とアンケート調査及びホームページ制作と事業プロモーションの実施」
事業③で実施したモデル講習のアンケート調査を行うことによって、以下の点が明らかとなった。
・林業や建築の専門的知識を有する学生・社会人であっても、製材業に関する知識に乏しい場合が多い。
・上記のような人々であっても、教育プログラム実施を経て林業や製材業に対する意識を変化させることができることが、定量的に明らかとなった。
・教育プログラムの内容は受講者にとって、「製材、木取り、セリ、林業についてセーザイゲームを通して楽しく学べる。」内容であることが、アンケート結果のテキスト分析(テキストマイニング)により明らかとなった。
 
事業全体の総評
以上の結果から、当初目的であった「A材普及への寄与が期待できる行政職員、林業大学校職員および生徒・建築士・設計士・工務店職員等らが抱くA材へのイメージや無知・不理解を、A材普及リーダー養成プログラムによって変化させ、A材への多面的な理解を持つA材普及リーダーへと養成する。」内容の教育プログラムが実用レベルに達したと考えられた。ホームページは新しい時代に対応するデザインと、更新を簡便に行うことができるシステムが実装された。さらに、本事業をプロモーションするための動画が完成したことによって、短時間での事業説明やPRを容易に行うことができる基盤が整った。
 

今後の課題と次年度以降の計画

今後の課題として以下の点が挙げられた。
・教育プログラムの効果を多面的に把握し、より効果的な内容へと改善するための取り組みが必要である。具体的には、アンケート調査内容の更新と、プログラム対象者の細分化および多回数実施による調査精度向上が必要である。
・教育プログラム実施体勢の構築と、当該プログラムを実施することができるスタッフ育成プログラムの構築が必要である。
・これまでの経験から、教育プログラムは望ましくは、(4)あるいは(4)の後に実際の製材所や山林、市場の見学等を行うことであると考えられるため、オプション企画による教育プログラムの深化について検討を行うことが望ましい。
したがって次年度以降は、完成した教育プログラムを継続的に実施しながら、継続的な実施体勢の最適化と、スタッフ育成プログラムの構築を行なっていく。