住宅 東海

平成27年度 木づかい協力業者による木材利用の促進事業

(株)中島工務店

実施概要

(1)協議会の開催
企画・運営等については都市部側で、現地見学等イベントに関しては山元で協議した。協議会の開催回数は、都市側で3回、山元で1回開催した。
協議内容で特筆する項目としては、今回の事業にはじめて都市側の任意団体及びボランティアが協議会に参加し、協力を得られたことが挙げられる。日頃交流の少ない都市側の住民団体が、山元の森林・林業及び木材産業の厳しい現状に関して、山元側と連携して活動することの必要性を理解されたこと。
今後も、本事業の拠点となった当該施設を通じて、山元の情報を継続的に都市部の市民に発信するネットワークの協力体制が整備することとなった。
 
(2) 山元における現地見学会の開催
都市部の住民を、森林・林業及び木材産業の現場を案内した。見学者は、森林内まで入って見学するのは初めての経験で好評であった。案内した現地は、協議会に参画する山元の各企業等が中心になり、木材生産から住宅ができるまでの一連の作業の流れを見学し、理解を得た。また、植林ツアー及び森林ツアーを2回実施した。
 
(3) 都市部における見学会
ヒノキ等の地域材をふんだんに使用したモデルハウスを利用して構造見学会日)及び完成見学会を実施した。構造見学会では、地域材による東濃ヒノキの構造材による頑丈な構造部を展示して住宅づくりの内側を案内した。また、子供連れの来場者向けに、木工教室を併設して木材に触れる機会を提供し好評を得た。住宅に加え東濃ヒノキ材ほか地域の木材、木工品、岐阜県産の農産物、菓子、郷土料理等の県産品を展示するなどして、目的とした都市と山村を繋ぐ有効なイベントとなった。
 
(4) 都市部における展示・宣伝
集客を多くするため、異業種企業とのコラボレーションにより、アウトドア体験イベントや持続可能な生活と山づくり勉強会を行った。アウトドア体験では、モデルハウスの木造住宅と其の庭を森林に見立て、森林内におけるキャンプ体験をとして、庭にテーブル、テントを張り、子供連れの家族又は会社の同僚等のグループがバーベキューによる食事を体験し好評を博した。持続可能な生活と山づくり勉強会とは、持続可能な社会を実現するための生活の在り方をブランド化するという考えのもとで、一般住民が日常、具体的にどのようなことを行うことができるか等について山村側と都市側からの角度から学ぶイベントとなった。

 

得られた効果

(1) 山元見学会を通じて、大量に生産が可能となった地域の森林資源、供給体制、木材加工設備等の整備状況を紹介し、木造住宅として都市部に供給できることの理解を得た。

(2) 山元見学会を通じて、地域材(国産材)の利用が高まることによって、伐採・搬出等地域の林業が活性化して、地域全体が林業の成長産業化の実現に向けて努力していることの理解と共感を得た。

(3) 山元見学会を通じて、在来軸組工法等のほか社寺建築等の伝統技術の伝承及び技術が活かされていることが都市部の消費者に理解された。

(4) 山元見学会、構造見学会等を通じて、都市部において、木材利用が進むことによって地球温暖化防止等環境維持に貢献することの理解が進んだ。
 
(5) 都市部において、国産材、地域材の良さを宣伝し、木造住宅の利点等の理解を得た。

(6) 都市と農村交流の拠点として、その役割を持つことができた。

(7) 都市部において、地域団体、ボランティア団体等と連携し、事業実施を行うとともに、今後も連携、支援を得られることとなった。

(8) 今回の事業を通じて最大の成果となったのは、これまで都市側住民の国産材に対する認識は、「木造住宅は良いが木材(木造住宅)は高い。」というイメージでとらえられていたが、来訪者の感想やアンケートの回答等に寄せられた意見は、これまでの認識とは変り「木材や木造住宅はそれほど高くはない。」という認識に180度変わったということを実感できる活動となった。

 

今後の課題と次年度以降の計画  

(1) 継続的な事業実施により都市圏住民に対し地域材の普及・宣伝を図って行く。

(2) 当該拠点を都市と住民の交流の場として活用し、情報交換と特産品の展示PRを行う。

(3) 地域材を利用した伝統的な「茶室」、木材の良さを表現できる重厚で高級な木造住宅のモデルハウス等を増設し、木材の良さの展示など、木材が身近に感じられる生活(木の文化)等について第2弾の提案の検討を進める。