三栄林産株式会社

令和4年度 顔の見える木材での快適空間づくり事業

三栄林産株式会社

事務局所在:三重県 出材地:三重県

事業計画

事業計画(pdfで表示されます)
 

実施概要

実施団体の説明
 亀山市加太で製材・建築・家具製作事業を行う三栄林産株式会社、地元の森林整備を担う鈴鹿森林組合、亀山市加太の森林所有者を主軸としたメンバーでプロジェクトチームをつくり、亀山市「加太」の木材の復興とブランド化、顔の見えるサプライチェーンの構築と、発展・定着させるための「顔の見える木材×顔の見える森林サービス」に取り組んだ。

 森林関係者だけでなく、地元の地域づくり団体や地域活性化チーム、地域材普及に実績のある事業者等との協力連携にて事業を実施した。

<プロジェクトメンバー>
【森林所有者】坂 義明(三栄林産株式会社顧問)、坂 昭吾(加太在住)
【林業】鈴鹿森林組合
【製材、家具、建築】三栄林産株式会社
【設計】atelierMATA一級建築士事務所
【地域活性化】㈲京都グラフィッシュ
【企画・実行支援】㈱古川ちいきの総合研究所
---特別協力--- 地域づくり団体、加太在住大学生
 
事業の目的
 かつて、優良材として人気の高かった三重県亀山市加太産の木材「加太材」の復興のため、再ブランド化とともに、「顔の見える森林木材のサービス・製品」として木材と森林と人々の繋がりを再構築し付加価値を高めいくことが目的である。

 事業実施主体である三栄林産株式会社は、林業(植林)事業からスタートし、三重県の木を自社製材して50年。建築、家具、キャンプ場事業にも取り組んでいる。
 「森と木のあるライフスタイル創造カンパニー」を理念に「百年かぶとの森構想」「鈴鹿川流域構想」をさらに推進していくため、山とのつながりを強化していくことが必要だと考えている。
<百年かぶとの森構想>
<鈴鹿川流域構想>

 本事業では、地元森林関係者とチームを組み、川上~川下の有機的な繋がりを実感できる製品・サービスを開発、ウッドショックなどの時流に左右されない木材価値創出を目指した。
 
事業内容・結果
1)KABUTO FORESTシリーズ
①付加価値の高い木材製品等の開発および試作
 ブランド名を「KABUTO FOREST」とし、現代の生活に馴染む家具を開発した。
 加太の森林から産出された木材を使用することを前提とし、加太材ブランド製品として明確に位置付け、パンフレット等でストーリーを付加する。体験付き製品も考案。

【KABUTO FOREST-TABLE】
 

Knotty style(ヒノキ×真鍮)

Buddy style(スギ×アイアン)
 
【KABUTO FOREST-SHELF】
【カップボード】
 
②試験ツアーの開催
 エンドユーザー向け体験付き木材製品を開発するため、試験ツアーを実施。山主の話~伐採、製材、家具製造、木の空間が一気通貫で体験できる内容とした。
 特に「鋸と斧によるエコ伐採」は、非常に好評を得ることが出来た。

③パンフレット等普及ツール製作
 エンドユーザー向けに加太の森と木を伝える内容のパンフレットとWEBページを製作。
 <パンフレット> 全ページ、3000部発行。イベント時、店頭展示、発送等で配布。
 
 <WEBページ>

④普及啓発
 「加太材」についてエンドユーザーに普及啓発するため、集客力の高いイベントや施設での展示を行った。
1)店舗「ノッティーハウスリビング」展示 10月26日(水)~1月25日(水)
 期間内来店者数:366名(うちスタッフ解説は32組74名)
2)イベント「木育祭」コーナー展示 11月5日(土)、6日(日)
 イベント来場者数:合計342名(うちスタッフ解説は21組34名)
3)キャンプ場「かぶとの森テラス」店舗内展示 11月19日(土)~1月25日(水)
 期間内来店者数:476名(うちスタッフ解説は57組117名)
4)新大阪 お酒と森と木のgallery「峠」展示 1月10日(火)~20日(金)
 期間内来店者数:269名(うちスタッフ解説は44組52名)
合計1,453名の来店、スタッフが直接解説したのは154組277名であった。

■展示用ツール製作■
<パネル>
<投影用動画>
 展示パネルは、加太の森と木、体験サービスを伝える内容で5種類×3部ずつ製作。
 動画は、試験ツアーでの撮影素材をメインに、山~伐採~製材~家具製作について臨場感を持てる内容構成とし、普及啓発時の投影とともにYoutubeでも公開した。

⑤協議会開催
【第1回】令和4年8月17日(水)「プロジェクト説明と検討(製品、ツアー、ヒアリング等)」
【第2回】令和5年1月24日(火)「プロジェクト報告/良かった点、改善点/今後の展開 他」
 

事業実施により得られた効果

①「加太材」再興への道筋をつくることができた。
 忘れられた存在となっていた「加太材」を「見える化」⇒再ブランディングへ。
②加太地域の川上~川下の繋がりの具体化
 実際に地元で伐採された木の供給生産体制の具体化へと舵を切ることができた。
③デザイン×機能性×ストーリーによる高付加価値化
 物語を付加×木のプロによる機能性×デザイン性向上で総合的に付加価値アップ。
④モノ×コト×エコ
 「製品(モノ)」に「体験(コト)」のみならず鋸と斧による伐採という「環境(エコ)」要素も 掛け算し、今後ニーズが高まるであろう切り口の価値を付加できた。
⑤森林(地域材)に関心のある人が集まるところでの効果的な普及啓発
 地域内の集客力の高い拠点および大都市圏での普及啓発で多くのエンドユーザーに訴求。
 

今後の課題と次年度以降の計画

①「加太の森林」の物語についてのヒアリングを深化、加太オリジナルの森の物語を見出す。
②森林の物語を深化させたことに伴う、普及広報ツールのアップデートと展開。
③「エコ伐採」だけでない「エコ製材」「天然乾燥」「鉋掛け」、究極のエコ木材への挑戦。
④より訴求力の高い内容に、ツアーコンテンツを充実させる。
⑤地域での山から始まる木材供給体制、および広いマーケットでの販売体制を構築させる。