フルタニランバー株式会社

令和5年度 顔の見える木材供給体制構築事業

フルタニランバー株式会社

 

事業計画

事業計画(pdfで表示されます)
 

実施概要

実施団体の説明
 フルタニランバー株式会社
  • 代表者 代表取締役社長 古谷 隆明
  • 設 立 昭和27年(1952年)8月  
  • 所在地 石川県金沢市湊1丁目86-1
能登ヒバ材の音響価値創出やブランディング、またアテ林業の活性化を目的として、
「ATENOTE(アテノオト)」という事業を展開している。

「能登のアテ林業」の丸太を活用し、能登ヒバを活用した楽器製品と店頭展開での体験を通じ、林業~製材~流通~製造~販売~消費者と、その価値を共有します。能登ヒバをサウンドウッドとして楽器業界への需要拡大を目指し、販売店・奏者と、木材空間体感や林業見学イベントを実施するなど、これまでにない新たな木材との体験を通じて、地域木材の持つ持続可能な価値の学びを育む機会を創出します。また川下である島村楽器のCSR事業「Evergreen Project」※に、今回のプロジェクトとして参画し、再造林に繋げます。


 
Evergreen Project
当事業の楽器の一部は販売業者である島村楽器の環境にやさしい楽器の販売と収益の一部を森林保護活動に寄付する。
 

事業の目的

山元に利益を還元するための付加価値の高い商材の開拓やブランディングを行い、新規需要を促すことで、再造林までのサプライチェーン及び適切な供給体制を構築することを目的とする。

第三次ウッドショックにより、輸入材に依存しすぎるリスクの大きさは確実に露呈し、さらに、世界に蔓延した新型コロナウイルスは働き方やライフスタイルを大きく変えました。そのような中で、コロナ禍で増えた「おうち時間」を活用して、楽器の演奏を始めたり練習を再開したりする人たちが増え、楽器の販売も伸びている。

当事業では、海外産の木材が主流であり、身近なプロダクトである「楽器」に注目し、これまでの高級な外材に代わる“サスティナブルな木材”として能登ヒバの使用を提案し、需要拡大を図る。

 
1.普及イベント
①第44回石川の農林漁業まつり 令和5年10月21日(土)~22日(日)
対象:県内一般消費者
会場:石川県産業展示館4号館  来場者:30,000人

能登ヒバ「ATENOTE(アテノオト)」の音響効果をPRするブースとして、実物の楽器の展示、事業コンセプトやアテ林業のパネル展示、チラシ・ノベルティの配布、ステージイベント出演などを行った。
能登ヒバ「ATENOTE(アテノオト)」楽器展示

ステージイベント

石川県桶太鼓ユニット
「アヤノチエ」

能登ヒバアンバサダー
ミス日本 みどりの大使「上村さや香」さん
 
 

②林業祭「能登のアテ林業」認定記念植樹祭 令和5年11月11日(土)
対象:県内一般消費者
会場:輪島市三井町洲衛「石川県健康の森」 来場者:60人

能登のアテ林業が林業遺産に認定されたことを記念し、アテの植樹を体験し、暮らしを支える森林の大切さについて考えるイベントに出演し協力した。

能登ヒバ「ATENOTE」
ギター演奏 大谷貴広氏 / 古谷隆明
 
③アテ林業現場体験ツアー 令和5年11月16日(木)
対象:島村楽器販売員他関係者
会場:石川県健康の森 森林科学館 輪島市 鳳至木材(株)来場者:16人

島村楽器 金沢フォーラス店での案内の元、楽器購入検討者・楽器メーカー・販売員など対象とした見学ツアーを計画。能登森林組合の管理するアテ林業の現場や能登の製材所を見学し、楽器の音の良さだけではなく樹種の持つストーリーを現場で学び実体験によって森への意識を育み、楽器への愛着・購入意欲等の促進を目的に実施した。
 
 
④「森で愛ましょう」イベント  令和5年11月22日(水)
対象:音楽関係者
会場:会員制多目的サロン レタス 来場者:30人

アテ林業PRのため、東京都内「会員制音楽サロンレタス」にて能登ヒバプロジェクト「森で愛ましょう」お披露目会を実施し、「能登ヒバ」プロジェクト理解と需要拡大に努めた。
 
フルタニランバー㈱古谷隆明 
島村楽器㈱ 猪古 淳仁氏

アテ林業PRプロデューサー 
ロベルトレゴナッチ氏
能登ヒバアンバサダー みどりの大使 
上村さや香さん

⑤WOODコレクション2024  令和6年1月11日(木)~12日(金)
対象:建築関係、バイヤー
会場:東京ビックサイト西1.2ホール 来場者:5,293人

39都道府県、約300の木材関係事業者等が参加し、日本各地の木材製品が集まり、
「植える→育てる→伐る→使う」という、森林の循環への寄与を目的に、木材の需要喚起と利用拡大を推進する国産木材の展示商談会に、出展した。
 
WOODコレクション2024 出展ブース  能登ヒバプロジェクト「ATENOTE」
能登ヒバアンバサダー ミス日本2023
みどりの大使「上村さや香」さん



 
2.モデル展示・宣伝広報
⑥店内内装・体験ブース試作事業 令和5年11月30日(木)~令和6年1月末

島村楽器 金沢フォーラス店、店頭体験イベント
楽器店の実店舗(島村楽器金沢フォーラス店)で、楽器材出元の森林や香り・サウンドなどの特徴と価値を体験しながら能登ヒバを使用した楽器を試奏できる体験イベントを実施。プレイヤーや販売員が、使用される材の意識を育む空間環境を設営した。
 
 
島村楽器 金沢フォーラス店
能登ヒバによる店内内装
 
⑦「能登ヒバ楽器プロジェクト」「森で愛ましょう」 PV製作
 
「能登ヒバ楽器プロジェクト」プロモーション

能登ヒバアンバサダー 
ミス日本みどりの大使 上村さや香さん PV制作

YouTube:https://youtu.be/xTO72lCZnhQ?si=7_L2-eLN3NWbjUlx

撮影場所:輪島市「石川県健康の森」
 

事業実施により得られた効果


島村楽器の店舗内を木質化したことにより試奏ブースに入った途端、ヒバの香りで満たされリラックス・アロマ効果が広がっています。お客様の反応もずっと居たくなる空間、この家具を売っているところを知らないか?など楽器とは異なる製品の問合せまで来たとのことです。

林業見学ツアーをしたことにより、フォーラスの職員の間に林業を応援したいという思いが拡がり、早速、2024年3月16日に延伸する北陸新幹線の記念イベントでPRをしたいと声が掛かりました。現在、PRイベントの実施に向け打合せを重ねています。フォーラスの入口で展開するほか、館内のトイレや装飾などをヒバにします。県外からの旅行客が見込まれることから大きな効果を見込んでいます。現在、1月1日に起きた能登半島地震の影響により、このイベントのコンセプトを林業PRではなく能登復興となってしまいました。

活動PRを続けたおかげで認知度が向上し、モクコレでは多数の方に声をかけて頂きました。ブースにはミス日本 みどりの大使 上村さや香さんが登場し、ゲリラライブを行ったことで、各種団体から事業合流の相談を受けました。広報的な事業を行ったことによりネットワークが拡大し、県外でのPR活動に繋がりそうです。


3.今後の課題と次年度以降の計画

・再造林に向けた取り組みが緑の募金への寄付でしたが、更に具体的な施策を練りたいと思います。関わる企業・団体で新しくコンソーシアム化し、各サプライチェーンの売上の一部を専用口座で管理し、川上への寄付を行う、また植樹の際には川下側(ミュージシャン・販売店)と行う、など。

・2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震によって多数の製材所が倒壊しました。また伐採現場の被害も多数報告されています。報告書作成段階(2024年1月中旬)で新規の能登ヒバ丸太の調達が難しく、今後復興過程において産業の再生フェーズへの移行は半年から1年程度かかると思われます。元々能登ヒバのブランディング・価値創造やサプライチェーンの構築を目指した事業ですが、地震被害の復興応援が必要になります。林業・製材所の復旧また担い手の募集など特に川上に対しての応援事業を構築したいです。



・和材活用において量産化体制の構築を強化します。現状、エレキギター制作はディバイザー社へ依頼していますが職人製造による特注対応の為、製造キャパと納期に課題があります。今回、PRしたことにより、島村楽器全店舗から数十台の発注を頂くことが出来ましたが、納品までに1年程度かかる見込みです。同社と量産体制に向けた打合せを行い、製造ライン構築など納期短縮を目指します。

・島村楽器 金沢フォーラス店からの発信により同社他店舗へのインパクトは大きく、成果をあげることが出来ました。全国の他店舗への能登ヒバを活用した什器の導入、またその地域材の活用を促します。既に北信越エリアの店舗会議への誘いも来ているので声が掛かり次第、積極的なPRを行います。

・島村楽器 金沢フォーラス店の越野店長やブースを見た方からの要望で、木材・林業の課題と木の性能を更に分かりやすい形でチラシ・パンフレットなどの素材を製作してほしいとの御意見がありました。自治体や木材団体で、一般消費者に向けた「能登ヒバ」に関する宣伝素材が無かった為、今後、制作を検討しています。越野店長からの助言として、一言で誰もがわかるものが良い、とのことでした。

・これまで製材所は建築材・造作材などを得意としていました。楽器に必要とするクオリティは少しずつ経験を積んでいるものの、まだ擦り合わせが必要な段階です。楽器販売店舗から売れる楽器の要望・ニーズをまとめ、サプライチェーンで定期的に集まり意見交換を行う場が必要だと考えています。